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今回は相方さんの「人生最長距離トレイルレース」のサポートとして参加してきました。埼玉県出身の僕としてはホームタウンのようなコースであり、しかしながらアップダウンを繰り返す厳しいコースでもあります。

そんなハードなレースに彼女が挑戦するということで、久しぶりにレースモードではなく平和な気持ちで参加。大会の楽しさなどは彼女のインスタでもご覧ください。

さて本大会ですが、何が特徴かというと、まず「公称獲得標高と実際の獲得標高の乖離」にあります笑 大会パンプレットを見てみると、「累積標高 1,861m」とあるのですが、実際は3,000m弱あります。もう自己レベルの乖離です。

37kmでD+1800は割と平和なレースだと思うのですが、37kmでD+3000はいきなり国内でも難易度の高いショートレースに様変わりします。実際初めて出た方は驚いたんではないでしょうか・・・勝負レースとして挑んだ方も面食らいましたよね、きっと。コースで言えば半分を少し過ぎたあたりの「正丸峠」でD+1800mは超えてきますから、その後のコースを想像できない中でレースを展開するのはなかなか難しいと思います。ぜひ来年参加される方はこのあたり、肝に銘じて頂ければ。

一方で、エイドの豊富さ、はメリットとしてお伝えできます。約4kmに1つエイドがあるため、水切れの心配はほとんどありません。

そろそろ年末周辺のレースも出揃ってきていますね。その中でも注目のレースが「日光国立公園マウンテンランニング」です。2018年新たに参加したレースの中で最も楽しかったレースなので、ぜひとも皆さんにも参加してほしい。

端的に魅力をば。

日光国立公園マウンテンランニングの5つの魅力

  1. 圧倒的な日光の「紅葉」
  2. ショートコースながらバリエーションに富むコースレイアウト
  3. スタート地点は世界遺産「日光東照宮」
  4. 東京からのアクセスが○
  5. トップ選手の走りが見られる!


まず第一に、景色が圧倒的です。しかもあまり見たことがない、世界遺産と紅葉のコラボレーション。スタート地点は日光東照宮で「こんなところ走っていいの?」って思ってしまう程ですし、「振り返れば絶景」ポイントがたくさんあります。

さらに激登り、渡河、トリッキーな下り、軽い岩場など、短い中に様々なトレイルバリエーションが盛り込まれており、これまた満足度◎。

東京からのアクセスもよく、電車でも車でも2時間以内でつくイメージ。長野の山は景色抜群だけど4,5時間かかっちゃいますよね。日光はそれがなく、アクセスのストレスはありません。もちろんレース前後で観光しても◎。

また招待選手が豪華!今年は誰が来るかわかりませんが、リザルトを見ていただけると、上位陣は見たことがある名前ばかり。コース上すれ違う地点もあるため、彼らの走りを生で見ることもできます。

昨年は1000人規模の大会でしたが、今年は800人に縮小しての開催。UTMFでは人数の増加が問題になっていましたが、きちんと減らす意思決定をしているのも支持したいですね。

僕は確実に出走しますので、ぜひ日光で勝負しましょう!


エントリーは5月13日(月)です!エントリーはこちら。






先日こちらの投稿に「なるほどぉ」とリツイートしたら、

瑠偉くんからこんなリプライが。

僕が思うに、100マイルレースに限らず「オーバーナイト」なレースにおいて、最も強く、最もしつこく、避けては通れない難敵が「眠気・睡魔」だと思います。これが襲ってくると、もうどうにもならない。足元はふらつき、頭がボーッとし、全く走ることができなくなる。

はじめて挑んだ100マイルレース、信越五岳ではこの「眠気」にまんまとやられてしまいました。その反省を活かして、UTMFではそこそこ眠気を克服し、かなりフレッシュな状態を保ったままゴールすることができました。


ウルトラトレイルにおける「睡魔」対策のポイントは、バリエーション

眠らず走っているのだから、眠くなって当たり前。当たり前のことと逆行しているんだから、いつもと違うことをしないと対策できない。

そこでポイントとなるのが「バリエーション」。睡魔は本当に強敵で、睡魔対策を一つチョイスしてその装備だけで戦っても負けてしまう可能性がある。睡眠時間を十分に取っていたとしても、変な時間に襲ってくることさえある。武器は複数もって、この強敵に挑むべき。できれば五感を刺激しまくるのが良い。日によってハマるメソッドが違ったりもするから。

以降に僕が行って効果的だったものを参考までに。プラシーボも込み込みなので、疑わず信じ込むと良いと思います笑


※100マイル2回しか走ってない(オーバーナイトレースは計4,5回)ペーペーの意見なので、ぜひ他に有効な手立てがあったら教えてください!


100マイルにおける「睡魔・眠気」対策①:カフェイン

まず王道のカフェイン。これがハマるなら、うまく活用したいところ。だいたい「眠眠打破」などで使われるカフェイン量が120mg。このあたりを目安にジェルやタブレットで摂取するようにしたい。

僕の場合は、ジェルだとメイタンの「クリアプロ」を長年愛用している。カフェイン量も200mgとジェル系では一気に摂取できる含有量。ロードバイカーの中ではメジャーだけど、トレイルランナーの間ではまだ知名度を獲得できていない気がする(ちなみに味はまずい)。

カフェインは脳内の疲労軽減効果もあるので、一気に覚醒する可能性があるが、一方で胃腸を中心にダメージを与える存在でもあるので、頼りすぎずきちんとマネジメントしたいところ。


100マイルにおける「睡魔・眠気」対策②:歯磨き

上の瑠偉くんのコメントにあるように、目の周りに塗りたくることはしなかったけど(笑)、口の中をフレッシュにすると一気に目がさめることがある。味覚への刺激

また僕個人としては、口の中が清潔に保たれていないと気分が悪くなる(ゾーンに入っているときはそういうのも気にならないんだけど。一方で気になっているということは集中できていない状態を示すのかもしれない)。

そういう些細なネガティブを積み重ねると、一気に大ダメージとなって現れたりする。ただそれなりに時間を食うので、タイムレースにまだ勝負をかけられるならこれは行わないほうがいいかも。30時間を切れないレース展開になったときの完走プラン、というところでしょうか。


100マイルにおける「睡魔・眠気」対策③:目薬

歯磨きよりもクイックに刺激を入れられるのが「目薬」。眠気が出てくると目が霞んでくる。その霞目がさらなる眠気を誘発するので、目薬はかなり有効だと思う。

使用するのは、ちょっと刺激の強い上記商品のような目薬。レース中に指すと、「キタァ」感が味わえるので、メンタルマネジメント的にもおすすめ(笑


100マイルにおける「睡魔・眠気」対策④:深呼吸

今回のUTMFでは、深呼吸を多用しました。脳に酸素が行き届くように深呼吸を繰り返すと脳が活性化するため、眠気を解消することができる説、があるので、信じて多用。

特に明け方のトレイルは空気も住んでいて、リラックスするのにも効果的。鼻から数秒吸って、10秒くらいかけて吐く。けっこうパリッとスイッチが入る時があります。


100マイルにおける「睡魔・眠気」対策⑤:ツボ

これは本当に信じてやるだけ、ですが、「眠気」に聞くツボは実はたくさんあります。そういえば受験勉強のときに寝る間も惜しんで勉強していて、これらのツボにはおせわになりました。

一番簡単なのは、耳を強く引っ張ること。耳の裏には眠気に効くツボがたくさんあるようで、ちょっと痛いくらいのイメージで引っ張ってみてください。オフィスでもけっこう有効な刺激入れです。


100マイルにおける「睡魔・眠気」予防策①:睡眠ローディング

このあたりから事前準備、になってきますが、「睡眠は貯金は出来ないが負債にはなる」という厄介な性質があると聞きます。寝不足は残るのに、寝だめは有効でない、ということ。

ただ現代のビジネスパーソンは睡眠不足が慢性的になっており、レース10日ほど前からきちんと睡眠時間を確保することは「負債解消」に役立ちます。

また最近改めて「睡眠は百薬の長」だと思ってまして、きちんと寝て疲れを取りまくることも必要だと思います。レース前はちゃんと仕事や会食もコントロールするといろいろストレスもなくて良いのではないでしょうか。


100マイルにおける「睡魔・眠気」予防策②:寝ない練習

これはもうただの気合い論になってくるんだけど、願掛けレベルでやっています。金曜の夜に鎌倉や高尾に集合し、夜通し山の中を駆けずり回る。良いオトナが何やってんだ!と突っ込み合いながら、夜な夜な走るのはなんとも楽しい。

また、「睡魔」というものを複数回経験できるのは非常に良い体験値。上記で述べたような対策を実際に実験してみる。効果実感が持てると、レースでもそれを期待して望めるので、そういう精神的安定もとても重要だと思います。



以上、まとめてみると意外性はあまりありませんでしたが、このあたりを組み合わせてそれでも眠かったら寝ましょう。たぶんそれはごまかしの聞かないやつなので。


他にも上のつぶやきで紹介されているガムや、その他まことしやかに言われている手法も試して効果実感があったらご紹介したいと思います。


※ここまで書いたが、けっこう参考になるエントリーを発見してしまったのでご紹介。

UTMF経験は今回のUTMF2019の1回だけ。100マイル自体も信越五岳2018とUTMF2019の2回だけではあるのですが、信越五岳2018では総合150位→UTMF2019では総合45位、といろいろと改善を図ることができました。UTMFで45位は信越だと20番代じゃないかな?


大した学びではないし、マイラーの諸先輩方からすれば「おいおい偉そうなこと言ってんじゃねーぞ」と言われてしまいそうですが、いくつか心得的にメモしておきますね。(基本的には一般的なトレイルランニングレースの準備はできている前提で、プラスアルファの内容を)。


1. UTMF前はとにかく睡眠時間を確保せよ。

前日は8時間前後は確保しましょう。100マイルの最大の敵は「眠気」だと僕は思います。眠気が出始めると、ふらつく、足が前に出ない、気持ちをポジティブに持っていけない、という三重苦が待っています。信越五岳はこれにまんまとやられました。

必ず眠気は襲ってくるものですが、少しでもその現象の発生を遅らせるためにも、できる限り睡眠時間を確保しましょう。


2. UTMF10日前から「睡眠ローディング」を。

「睡眠ローディング」って言葉があるかわかりませんが、10日前から睡眠時間を長く取れるように調整しましょう。睡眠は万能薬です。細かいテーパリングの手法は多々ありますが、それより何より、とにかく寝ることのほうがよっぽど回復します。

10日前から焦ってトレーニングしても走力は上がらないので、潔く眠るようにしましょう。僕の周りで失敗している人は、仕事が忙しくて眠れなかったり、飲み会を入れてしまったりしていて、睡眠時間をうまく確保できていなかった、というパターンがけっこう散見されています。仕事の調整、もUTMFの準備の一つですね。


3. カフェインマネジメント、を身につける。

レース前1週間くらいは、カフェインを抜くようにしましょう。そしてレース中は大いにカフェインを活用しましょう。

カフェインは眠気を予防してくれるだけでなく、疲れも一時的ではありますが吹き飛ばしてくれるので、ここぞというときに使えば「スターモード」「野生化」のスイッチになってくれる可能性があります。

一方で刺激が強いため、多様すれば胃を荒らしてしまい、トラブルの原因にもなります。トレーニング時からカフェインをうまく活用するテストを行い、自分なりの補給ルールを確立させておきましょう。

ちなみに僕の場合のカフェインルールは、

  1. レース前半は摂取しない。少なくてもレースの2/3が終了してから摂取する。
  2. カフェインを摂取する前後の飲料は真水にする。
  3. MAGMAなど、回復系のサプリを併用する。

この3点です。ご参考まで。


4. シューズの履き替え、ウエアの着替えを戦略的に楽しむ。

トップを競い合うランナーはそんな個としないかもしれませんが、シューズの履き替えはとてもおすすめです。

100マイルという途方もない距離を、同じシューズで完走するということは、同じ皮膚、同じ筋肉にひたすらにダメージを蓄積させるということであり、どう考えても得策と思えません。

今回僕は2つのシューズを準備。前半はNIKEの「テラカイガー5」、後半はALTRAの「ティンプトレイル」で挑みました。

靴を履き替えると同時に、靴下も履き替える。ついでにワセリンも塗り直す。こうすることで、マメや水ぶくれなどのトラブルはまったくなく、平和にゴールまでたどり着くことができました。

一方で、ウェアも着替えを用意しておくことをおすすめします。何より「お着替え」は楽しいですし、今回のような雨や雪のコンディションにおいて「乾いたウェア」は正義であり、神です。

多少かさ張ったとしても、ザックやドロップバックに忍ばせておくことは、多くのランナーにとって(一部のスピードランナー以外)正解だと思います。


5. アミノ酸をうまく取り入れる。

多くの人がUTMF装備一覧、みたいなものをインスタにあげていて、補給食もそこに含まれているので閲覧したりするのですが、糖質ばかりのラインナップで、アミノ酸系が少ない場合は非常に多いと感じました。

正直フルマラソンくらいのペースだと、アミノ酸をレース中に摂取しても吸収から効果がでてくるまでに時間がかかるのであまり効果実感はない(疑わしい)のですが、マイルレース位になると、前半で摂取していたアミノ酸の効果を実感することができます。

アミノ酸はもともとの味が独特(正直に言うとまずい)なので、どんなに加工いてあってもレース後半だと摂取しづらくなることがあり、できる限り自分の口に合うものを探し当てておくといいと思います。


6. フル装備で最低2回は山に入っておく。

すべての準備を揃えた上で、それをザックに収納し、UTMFスタートと同じ服装で事前に山に入っておくことをおすすめします。できれば50km以上、10時間以上、さらに可能であれば夜間トレイルも。

今回僕は反省しかないのですが、UTMF週になって装備を買い足しにいくのはナンセンス。せっかく数ヶ月前から装備一式は公表されているので、3週間前にはすべてを揃え、一度その装備で走っておくことを強く推奨します。

UTMFの装備一式+αを詰め込むと、おそらくいつもトレイルを楽しむときよりも荷物が膨らみ、重さも増すはずです。この微々たる違いをちゃんと経験できているかどうか、はとても重要で、「あ、肩のここにあたるな」とか「ワセリンはここにも塗ったほうがいいな」とか、そういった気付きを事前に得られることは、大きな不安払拭になります。


7. ワセリンを携帯しよう。

ショートレースでは必要ないと思いますが、ロングレースでは何が起こるかわかりませんし、スタート前に塗ったワセリンが今回のように雨とともに洗い流されてしまうことも多々あります。

そのため、ワセリンは携行したほうが得策。僕はガーニーグーの小さいサイズのものを携行しましたが、安心材料になってくれました。

少しでも「あれ、靴の中がずれてるかも」とか「股擦れしちゃうかも」と思ったら立ち止まって補強する。それくらいの余裕があったほうが100マイルはうまくいくと思います。


8. エイドで長居しない。

100マイルレースはエイドも豪華。UTMFは特にそうで、焼きそばや湯葉ご飯など、美味しい補給食が毎エイドごとに待っています。

もちろんこれも100マイルの楽しみのひとつなので、すべてを食するフードファイト的な楽しみ方も否定はしないのですが、それでも長時間エイドにとどまることはおすすめしません。

信越五岳での僕の大きな反省はまさにこれでした。エイドで10分以上滞在してしまい、そのたびに温まった体を冷やしてしまう。エイドを出て体に火を入れ直し、またエイドで冷やす・・・ということを繰り返し、最終的には完全にバタンキュー。

エイドで休んでも(休み方が重要)なかなか体力は回復いないので、相当辛くない限りは(後ろ髪惹かれつつ)早めにエイドを後にすることをおすすめします。



とにかく、UTMF2019、なんだか振り返ることができず、ブログを書くことが進まなかった。書いても書いても、ぜんぜん面白くない。途中で筆が(キーボードが)止ってしまう。

Twitterやインスタでは「UTMFロス」みたいな言葉を書いている人が何人も見受けられたけれども、僕は全然その感覚がわからず。ゴールで泣くこともできず。むしろUTMF自体に対して「こんなもんか」感がずーーーーっとある。


  • UTMFに対する理想が高すぎたのか?
  • レース中、富士山が一回も見えなかったからか?
  • ゴールに誰もいなかったからか?


とにかく筆が進まないながらも、書きなぐってみた。来年出る方の参考に、少しでもなればいいかな、と思う(主観的すぎて参考になるはずもないが)。

  1. UTMF2019参戦記ー前半戦(スタート〜麓エイド)
  2. UTMF2019参戦記ー中盤戦①(麓〜本栖湖エイド)
  3. UTMF2019参戦記ー中盤戦②(本栖湖〜二十曲りエイド)
  4. UTMF2019参戦記ー後半戦(二十曲り〜ゴール)
  5. UTMF2019参戦記ー補給編
  6. UTMF2019参戦記ー装備編
  7. UTMF2019における議論について
  8. UTMF2020に向けて。


せっかく完走できた91人(3.7%)に入ることが出来たのに、なんだか腑に落ちない。


GWの余りの時間を使って考え至った結論は2つ。


  1. 日本のトレイルランニングシーンがUTMFに引っ張られ、その差がなくなってきているということ
  2. 僕自身がUTMFと向き合う準備が全然できていなかったということ


UTMFが日本の象徴的なレースであることは間違いない。しかし、唯一無二のレースでもない。実際たくさんのレースに出場してきて(年間15前後)、部分的にUTMFを上回るような(演出、コースレイアウト、スタッフのやる気などなど)大会は多数あると思う。


●ショートレースながら1000人が出走する日光マウンテンランニング(今年も絶対出る)

●前夜祭が楽しい、斑尾高原フォレストトレイル(これも絶対出る)

●UTMFよりキツイんじゃないか説のあるトレニックワールド彩の国(これは当分出ないw)

上記だけでなく、今や国内外に魅力的な大会は死ぬほどある。UTMFは象徴である一方、数あるレースの一つに過ぎない。GW中いろいろ考えて、そう思い至った。


5年前の2014年にSTYに参加した時、その壮大なスケールに圧倒された。これが国内最高峰のレースかと、感動した。

2019年、今年。奇しくも同じ「こどもの国」がスタート地点だったが、あのとき(2014年)の感動がなかった。しかしそれはUTMFのレベルが下がったわけではなく、他の大会のクオリティが高まったと考えるべきなのかもしれない。


これはすごく良いことだ。日本の大会レベルが、世界レベルのUTシリーズに引き上げられて高まっていく。その結果が、UTMFに過度な感動をしなくなった自分、というだけ。昔は落差(UTMFとその他の)がすごかったというだけ。そう解釈すると、割とすんなり腹に落ちた。


もう一つは、僕自身。楽しむための、十分な準備ができてなかった。100マイルは壮大な旅だ。旅には計画がいる。どこに行こうか、どんな装備で行こうか。そういうところから旅=レースは始まっている。

旅そのものも楽しいけど、旅の計画をしているときが、実は一番楽しかったりする。


今回僕はこのステップをほぼ飛ばしてしまった。心と体の準備が全くできていなかった。


行き当たりばったりを楽しむのもいいけど、計画するからこそ想定外が生まれる。そういう波乗りを楽しむのが、100マイル。ロングレース、ウルトラレースだと改めて思った。


そういう意味で、僕はまだUTMFに挑戦する資格がなかったのかもしれない。資格というか、なんだろう、やはり「準備」が適切だな。準備ができていなかった。


そういう意味で、来年こそ、心の底からUTMFを味わいに行きたいと思う。なんだかいろいろと忘れ物をしたみたいなので、1年間準備して、臨みたい。





今回のUTMFは途中で短縮となってしまい、いろいろ議論がTwitterを中心になされていたと思います。大前提、今回の中断の意思決定と、それに伴う迅速な対応には敬意を評したいです。それくらい素晴らしかった。


その前提で議論を大きく分けると、

  1. 危険箇所のスタッフ配置やガイドテープ(白)の見づらい問題
  2. ゴミ多いぞ問題
  3. 渋滞やばくない問題
  4. さすがにブリーフィングやれば?問題
  5. エイドの焼きそばない問題


このあたりに集約されると思うんですが、1については個人的にはあまりその必要性は感じず。400位前後を一時期は走っていたので、熊森の下りなどはそれなり以上に泥だらけだったが他レースと比較して「危険か?」と問われれば、志賀高原エクストリームとかのほうがよっぽどやばいし、真っ白のテープは確かに見えづらく見失うことが特に昼間は多かったが、ライトを当てて反射板を反応させるなどで対処できたのでこのあたりは選手に任される部分が大きいのではないかと思います。海外レースはよりマーキングが少ないと言うし。ただトレイルの復旧は心配。


2.ゴミは確かに多かったように感じました。落とさないようにしよう、見つけたら拾うようにしよう。僕は同じチームの「世界の小松」が目の前でゴミを拾って走っているのを見て感動してしまい、それ以降はなるべく拾うようにしました。ぜひ皆さんも拾って、走る前より綺麗にしたいですね。


1と3が混ざり合うと、確かに運営側で解決すべき課題の可能性が高まってくる。実際、今回のUTMFは渋滞がやばかったみたいで、これは完全にシミュレーションミスによるものだと思います。人数を減らす、はファイナンスの観点とか様々な大人の事情視点から難しい匂いも感じるので、STYの復活、またはウェーブスタートなどの検討を期待。


4はやったらいいと思います。というかやるべき。国際大会なので、言語対応など大変だろうが、信越五岳のように映像を公開するだけでも良い。参加者に小テストを課しても良いと思います。2000人以上のポイントを満たす屈強なトレイルランナーが一同に集まり、彼らに(我らに)教育できる場がレースのブリーフィングの場。そう考えるのであれば、鏑木さんの考えるルールやマナーを伝道する素晴らしい機会がブリーフィングなんだと思います。


エイドの焼きそばがない問題は、食べたければ早く来ましょう!ちなみに割と速い僕は食べてません!エイドでの補給食はあくまでサブ、エイドがなくても完走しうる補給食は持つべき。栄養面はそれで担保すべきだし、補給食が食べれないからエントリー代割引しろ、はちょっとズレ過ぎている。食べることができたら「ありがたや〜」くらいのスタンスが良いと思う。実際、みんなに行きわたるくらいに過剰に用意すると、だいたい余って悲惨にごみになる。そうなるくらいなら、足りないくらいがちょうどよい。


あと、個人的に前回参加したSTY2014の時からそうなんだけど、ゴール後のケアがけっこう「ない」に等しい。単身で参加したSTY2014はゴールしたのが深夜で、寒空のもと途方に暮れた(その後無事タクシーを捕まえて宿に行くことができたが、宿もUTMF対応してくれているわけではなく、個人で交渉して深夜にあけてもらった)。


今回はさらに状況が悪く、荷物預けもしないでサポートメンバーに預けていたにも関わらず、手違いがありサポートメンバーがゴールに間に合わなかった。

僕はびちゃびちゃの状態で、めちゃくちゃ寒い中会場でポツン。165km走ってきた頭はあまり正常に動かず、とにかく雨に打たれ続けてしまった。避難するところがないから、仕方ない。


幸い、会場にあったGOREのテントに匿ってもらい、雨風を凌ぐことはできたのですが、全選手がこの対応をしてもらえるわけではないし、寒さは止まらなかった。あまりの寒さにGOREのスタッフが心配して近くの「開運の湯」まで連れて行ってくれたのだが、「本日入場制限のため入れません」と言われてしまい絶望。同じように言われている選手が「そんなことあるぅ?」と同じく絶望していた。

このあたりのエリアとの連携、あるいはそういった場所の確保は多少エントリーフィーがかさんでも充実してもらいたいな、と思います。




目標は達成したときよりも、するまでの過程が楽しい。

いつかはUTMFの表彰台。そこを目指しつつ、来年UTMF2020の目標は以下に掲げたいと思う。

UTMF2020の目標:20位以内(24時間以内)

順位で目標を設定すると、怖いトレイル業界のお兄様たちから笑われそうだが、良いんです。僕は相対的な生き物。勝負ごとが好き。そもそもROAD TO系がダメか笑


今回のタイムは27時間17分。3時間以上を1年で詰める。容易なことではないが、細かく20位付近の選手と比較してみると、

  • A1-A2区間:60分〜90分の差
  • エイドワーク合計:50分〜110分の差

明確な改善ポイントが確認できている。上記を戦略的に改善するだけで2時間〜2時間半の改善は可能。そんなに簡単なことではないというのはわかっているが、「何をすればいいか」が見えているだけで全く異なる。

また本栖湖以降のタイム差で見ると、20位付近の選手には勝ち越している場合が多い。大体あのスピードで行けば、彼らに勝つことは可能だ、とイメージができたのはものすごいポジティブな材料だ。一番調子の良かった忍野→きらら、きらら→二十曲りでは20位以内の区間順位は記録している。このあたりも自信になっている。


一方で、今回ライバルと見定めていた10位入賞の木幡選手には「全区間で敗北」している。何もかも敗北。すごい、強い。まだ彼にかつイメージは沸かないので、1年かけて背中が見えるくらいには成長したい。


ウィークポイントはなにか?

僕のフルマラソンの持ちタイムは直近で更新した2時間43分。おそらく上位選手で僕よりも遅い選手はいるはず。スピードは正直あまり上げる必要がないと思う。

一方で、僕のフルマラソンのフォームというかストライドは(短足なのに)広い。かなり大股でダイナミックな走り(とよく言われる)なのである。

一つの仮説として、このストライドのでかさとトレイルランニング時のフォームがかなり異なるということ。もう少しいうと、フルマラソンなどのロードのスピードがトレイルに変換されていないかもしれない


そういう意味で、峠走をより多く取り入れ、スピードをトレイルに転換するトレーニングを多用していきたい。


また、今回ストップしてしまったのは「天子山地」「杓子山」の2つの急峻な山(塊)だ。どうやら一気に高度を上げる登りがかなり弱い。もしかしたら軽い「プチ高山病」にでもなっているのかな?これは丹沢バカ尾根練などでケアしていく必要がある。


ストロングポイントを伸ばす

逆に、明らかなストロングポイントは、

  • 下りのスピード維持
  • ダメージ体制の強さ
  • 夜間での覚醒
  • 胃腸の強さ

このあたりが挙げられる。今回もほとんど下りのスピードで追い上げに成功した。また、90km近いスパートをしても壊れない足は、そこそこに頑強なのではないかと思う。このストロングポイントは引き続き峠走で強化していきたい。

また夜間の強さがある。補給のところでも書いたが、カフェインを含め、夜を元気にする(卑猥な意味ではなく)ための実験はいろいろと鎌倉で試してみたいと思う。


今回の反省点はなにか

トレーニング自体は2月まで順調に進んでいた。月間500km以上、計画割れではあったが累積も15,000mは確保できていた。

勝田全国マラソン、深谷シティマラソン、はなももマラソン、とロードレースにたくさん出場し、記録を更新しまくったが、ロード用の練習はあまりしておらず、トレイルの練習+スピード練習で仕上げられたので、正直良い形でもっていけてたと思う。問題は、

  • はなももマラソンでの足裏の怪我(3月序盤)
  • 鎌倉への引っ越し(3月後半〜4月序盤)

この2つ。

前者は明らかなダメージとなり、一番距離を踏まなきゃいけない期間でハードな練習を積むことができなかった。

また言うまでもないしわかりきってたけど、突如決めた鎌倉移住のため、マインドシェアが鎌倉>UTMFになってしまっていたことは否めない。

完全にUTMFより違うレースに気が行ってしまっている。これは明確に敗因。わかってたんだけど、いろいろ考えると早く引っ越さないと、という思いが強く。UTMFは逃げないし。


とにもかくにも、来年は狙い定める。UTMFを心の底から楽しむためにも、万全の準備で臨みたい。




装備についてはあまり言えることがない。正直準備不足で言えることがないんだが、少しだけ。

テラカイガー5 VS ティンプトレイル1.5

エイドの滞在時間を短くするのは重要だけど、一方で、「シューズのは着替え」は有効だと思う。同じシューズで走っていると、同じところにずっとテンションがかかり、それは足裏だけではなく、足全体に影響を及ぼす。

だから、コース中盤くらいで、一度履き替えるくらいの余裕があると良い。それに合わせて、靴下も履き替え、ワセリンも塗り直す。このくらいしておくと、怪我なくレースを展開できると思う。

その前提で、今回はテラカイガー5とティンプトレイル1.5でレースに臨んだ。前半にテラカイガー5

後半にティンプトレイルを採用。前半は走れるので、ランに強いテラカイガーを、後半は足のストレスを開放してくれるアルトラ、中でもサポート力の高いティンプトレイルを、という考え方で。

基本的にこの戦略はピタリ、だったと思う。テラカイガー5はよく言えばホールド感、悪くいうと、少し窮屈な印象があり、それが良い意味でスピードをもたらすんだけど、160kmを履き続けると考えると、僕には少しストレスだった。

そのストレスを感じはじめている中間地点でティンプトレイルに履き替えられたのは本当によかった。一気にストレスから開放され、元気になった。


アルトラのロングレースの本命は、ローンピークではなく、ティンプトレイルだと最近思ってきている。

ロングレースの本命ライトは「LEDLENSER」で決まりなんじゃないだろうか

はじめての100マイルだった信越五岳では、Petzlの「Nao+」をメインで活用した。というのも、友人であり先輩でもある「世界の小松」から「Nao+を使うとやばいですよ、スマホとガラケーくらいの違いがありますよ」と言われたからなんだけど、死ぬほど後悔した。

充電の持ち時間が糞すぎる。僕の使い方が悪いのかな?信越では何度も電池交換を余儀なくされ、サポートメンバーにもエイドのたびに充電してもらってなんとか乗り切った。


2万円ほどの買い物だったが、成功者は損切りがうまいもの。せっかく購入したNao+は信越の一回使用でメルカリ行き、代わりにLEDLENSERの「NEO10R」と、NEO10Rとバッテリーを共有(同じ電池で対応できる)できるハンドライト「MT-10」を採用した。そもそもNao+はバッテリーでかいし、共有できないからコスト(重さ)になるからレース向きでない。

正直この組み合わせは最強なんではないかと思う(同社製品の他の組み合わせを探って、コストダウンするのも手だが、勝負レースにはハイスペックで臨みたい)。僕は27時間でゴールしたので、二日目の夜に突入はしなかったけど、フル照射モードで双方とも一晩中電池は持った(スペアに交換することなく)。

また今回のように霧が濃い時はヘッドライトは無力。ヘッドライト+ハンドライト、とバリエーションをもたせておくことは肝要だと思う。僕もハンドライトをメインに使い、両手を使いたいときだけヘッドライトを使用するスタイルで途中から定着した。





UTMF2019は「ジェルだけ(固形物を持たない)」で臨む

UTMF参加にあたり、僕が用意した補給戦略は「ジェルだけ」戦略。先日プロトレイルランナーに変更したヤマケンさんがどうやらこのスタイルらしい、というのと、レース中に固形物を欲しくならない性分でもあるので、クイックに摂取できるこのスタイルを採用した。

固形物が食べたく鳴ったら、エイドで食べれば良い。UTMFはエイドご飯が美味しいので、この戦略で良い。(下の画像にはエネ餅が写っているが、レース前に食べただけでレース中は食べなかった)

ポイントは低GI

僕は血糖値スパイクが起こりやすいんじゃないか?という仮説があり、低GIな「WASPシリーズ」を中心に、味が好きな「マグオン」のアップル味、カフェイン含有量の高いCCC、目がさめるしょっぱさの「エルグソルト」などのラインナップで臨んだ。

また、超長距離は「以下に補給食でダメージを軽減できるか」もポイントだと思い、アミノ酸も定期的に摂取。今回は「カツサプ」と「俺は摂取す」を採用。カツサプは常備し、「俺は摂取す」はサポートメンバーに持ってもらい、サポートのたびに補給した。


結論:ジェルだけで陥ったトイレ地獄

僕の今回のUTMFの反省の一つに、エイドワークがある。それでも信越のときよりも早くなり、エイドのたびに順位を上げることが出来ているんだけれども、それどもトップ選手とは合計で1時間ほどエイドワークで差をつけられてしまっている。


その大きな要因は、「トイレ大」だ。

もともとお腹が強い方ではないのだけれど、今回本栖湖エイド以降、ほぼすべてのエイドでトイレ大をした。胸を張って言うようなことではないのだが、長時間固形物を入れずにジェルだけを摂取したからなのか、「我慢できない系のゆるゆるう●ち」になってしまい、トイレに駆け込まざるを得なかった。(幸い野●ソは避けることができた)。

この学びは次回の100マイルに活かしたいと思う。みなさんもぜひ気をつけてほしい。


マイルレースでアミノ酸摂取はマスト

アミノ酸、特にBCAA系は岩本さんの「非常識マラソンマネジメント」を読んでから取り入れ、もはや僕のレースマネジメント的に(ショートレース以外は)欠かせない存在になっているんだけれども、レース後半は粉末タイプのものでも飲みづらく鳴ってしまうことが多く、今回は味も良く普段から常飲している「俺は摂取す」を採用。

重さがあるゼリータイプなので、自分では背負わず、サポートに持ってもらうスタイルにした。

これが的中。成分的にも以下の内容がマイルレース向きだったと思う。

  • マグロコラーゲンペプチド…3,000mg:傷ついた筋肉を修復する役割が認められている。また同社のコラーゲンはウロコ由来ではなく魚皮由来で、吸収率・安全性の面でも優れているとのこと。
  • BCAA…3,500mg:言わずもがな、筋肉のエネルギー代謝や合成などに深く関わるバリン・ロイシン・イソロイシンの3種類の必須アミノ酸。
  • パラチノース…3,000mg:天然の糖質で、血糖値の上昇を抑えたり(つまり付随するインスリンも抑制できる)、内臓脂肪を減少させる、集中力が持続するなどの効果が期待できます。


個人的には味がすごく好きで愛飲しており、また製造企業の中の人ともやり取りさせてもらっていて、熱意と誠実さをめちゃくちゃ感じている。超絶応援したい商品というのもあり、おすすめさせてもらいます(下のページからクーポンコード入れてもらうと安く変えるのでぜひご利用ください)。


クエン酸コンクの携帯、がすごく良かった。

今回挑戦したもう一つが、「クエン酸コンク」の携帯だ。

WASPシリーズが「甘ったるい」系のため、他のもので「酸味」「塩味」などバリエーションを持たせる必要があった。クエン酸コンクは「酸味」担当。もちろん疲労回復効果のあるクエン酸それ自体にも期待して投入したのだが、これはけっこう良い手段だという感想。

持ち運びはジェルボトルで。エイドで水をフラスコに入れ、そこにクエン酸コンクを入れるだけ。糖質だけでなく、こういったアミノ酸やクエン酸など、回復系の補給のラインナップをどこまで揃えるか?はマイルレースの重要なポイントになりそうなので、引き続きいろいろと検討したいところだ。


カフェインはマスト中のマスト

今回完走者の中でカフェインを取らなかった人はどれくらいいるんだろうか(いないんじゃないのかな?)。

ロングレースにおいて、カフェインとの付き合い方をマスターすれば相当有利にレースを進められると思う。

実際、僕も竜ヶ岳付近のナイトトレイルでカフェインを投下し、一気に開眼した。

カフェインの眠気防止作用はもちろん、疲労感を飛ばしてくれる効果はウルトラランナーにとって非常に有効。ただし刺激物でもあるので、マネジメントの仕方が難しい。

基本、回復系との組み合わせだけど、僕は今回有効な方法論を見出した。それはまだ内緒にしておこう笑


二十曲りを出てしばらくして、杓子山に取り付いたくらいだろうか。


杓子山は聞いていたとおり、丹沢山系のような「手を使って上る全身運動」系のトレイルで、「いやぁ、これを最終盤に持ってくるとは本当に鏑木さんアホだな」と思いながら、とはいえ楽しんで登っていた。


エンストは突然に。

本当に突然に。プスン、という感じ。

今までの余裕がどこに言ったのか、一気に登れなくなってしまった。ちょうど杓子山の核心部である。手に力が入らず、けっこう危ない状態で岩場を上る。


状態としては、前半戦「天子山地」に近い感じ。しかし明確にハンガーノックっぽい症状だ。持っている補給食は少なくなってきているが、脳の錯覚になればと一番甘い「ワスプ ハニーウォーカー」を一気食いする。クソ甘い。この甘さで脳よ、騙されてくれ。


さらに追い打ちをかけるように、下から後続の選手が追ってくる。なんかよくわからないけど、僕より元気そうじゃないか。おいおいちょっと待て、俺は30位まで順位を上げる男だぞ、俺の順位を下げるようなことをするな!


そんなことは思ってたか思ってなかったか覚えてないが、とにかくけっこう焦った。50位以内も危ないんじゃないか?すぐさまそうしたネガティブな思考がよぎったが、流石にここまで150km近く走ってきた自信がある。

抜かれはしたものの、しっかりとした足取りで前を追う。すると、別の落ちてきた選手を拾うことができ、結果的に順位を上げることができた。


UTMF2019後半戦は寒さとの戦い

杓子山は何個も「偽ピーク」がある。何度も騙される。さらに幻覚症状も相まって、全部ピークに見える。鉄塔に見えたものが、近づくとただの枝だったりする。1年分くらいガッカリしたんじゃないだろうか。

本物の、リアル杓子ピークに到着したときは、なんかムカついてしまい、「コノヤロー!」と金を鳴らした。たぶん、このアクションは僕だけじゃないはずだ。


山頂に着くと、一気に気温が低下していることに気づいた。早く下山したほうが良さそう。僕のこの予感はまさに「的中」だった。


下りの最中、ぐんぐん気温が下がる。雨も強くなってくる。150km以上走ってきた人間に対する仕打ちがこれか。どんだけ心を折ってくるんだ。割とリアルに萎えてくる。


林道に出る。ライバルmaimai(福島舞選手)が応援で逆走しており、発見してくれ、エールを送ってくれる。福島選手の元気は敵にすると脅威だが、味方のときは大いなる力になってくれる。その応援でなんとか元気をつなぎ、寒い中最終エイド「富士吉田」を目指す。


とにかくこの林道→街中の区間は寒さが「やばいレベル」に達しており、また装備的にも限界を感じていた。


判断力の勝負

持っていたウエアはすべて度重なる雨で水分を含んでしまっており、これ以上暖かくする事はできない。しかしゴールまでは11km。押し切れる距離だ。

僕の判断は、「富士吉田は補給だけ手早く行い、最小タイムで通過する」だった。止まったら死ぬ。うどんとか食べて温まる、という選択肢もあったが、ここはストロングスタイル。一気に行ってしまったほうがいい。

予想外にサポートメンバーが待ってくれていたのだが、最小限で富士吉田を後にする。おそらくあそこで居座ってしまっていたらゴール出来なかっただろう。


幸い、エイドを出てすぐ最後の山「霜山」への入山口があり、なんとかここで風を凌ぐ事ができた。前を行く日本人女子2位の高島選手も捉えることができ、ラストスパートをかける。


「最後の霜山がいやらしいんだよね」


だれかがそんなことを言っていたが、僕にとってはそんなことはなかった。ここまで来たら数百メートルくらいの登り、訳はない。雨風を少し紛らわせることができるだけでありがたい。

しかし山頂に近づくと、雨が雪に変わりやがった。それはダメだ。思わず笑ってしまった。つくづくUTMFは天気に恵まれないなwと、独り言を言いながら笑うやばいやつになっていた。

というか、雪がやばい。雨が雪になったねぇ、というレベルではないのだ。東京だと1年に一回あるかないかレベルのヤバいやつなのだ。

流石に足が言うことを効かなくなってきたが、ちょっと命の危険を感じたため、文字通り必死になって下山する。河口湖付近の街が眼下に見えてきたときは、「生きて帰ってきた感」が半端じゃなかった。


そして、無人のゴールへ。

UTMFのゴールの仕方だけは決めていた。河口湖大橋を走りながら、通り過ぎる車から「おかえりなさい!」「よく頑張ったね!」と声をかけられながら、「ただいまぁ!」と大声で走り抜ける。

昨年の覇者ディラン・ボウマンのように、「Oh,God」と顔を覆いながら、ゴールゲートに向かう。ゴールゲート前で待ってくれている人たち全員とハイタッチして、ゴールを味わい尽くしながら、「渡邊選手、ゴールでーす!」とあのアナウンスでゴールテープをガッチリ握り、腕を振り上げる。


そんなゴールを思い描いていた。


しかし、河口湖大橋を走っていると、そもそも車の通りが少ない。というか雪が降っているから、誰も窓を開けて応援してくれない。

大橋から見えるゴールゲートも・・・あれ?人少なくない?


ちょっと不安になるも、そこはUTMF。どれだけ富士山が見えなくたって(レース中一回も見えなかった)、きっとゴールはド派手なはず!感動のゴールシーン!

そんな僕の淡い期待は、粉々に打ち砕かれた笑 ちょうど大会の中止が決断、アナウンスされたタイミングで、会場にスタッフはほとんどおらず。また僕の数分前に女子総合5位の選手がゴールしており、アナウンスの人もそちらのインタビューで掛り切り。

そのため僕の名前は呼ばれることはなく、他の大会よりも寂しいゴールとなってしまいました。まぁこういうこともある!


さらに不幸なことに、サポートがゴール地点に到着しておらず、この寒空の下、ドロップバックも荷物もない状態で放置されてしまい、まさかのゴール後に低体温症に。GOREのショップの方が親切に匿ってくれたけど、レース中のどのタイミングよりもゴール後が本当に辛かった。次のUTMFでは「ゴール後のマネジメント」もきちんとしようと心に決めたのだった。


続く》》》UTMF2020に向けて。




精進湖を出て勝山エイドへ。この区間でチームメンバーの中で先頭を走っていた高野くんにようやく追いつくことに成功する。たぶん足和田山の山頂かな?

僕の調子は絶好調。登りも走って登っちゃうくらい元気。自分でも不可解だが、とにかく死ぬほど元気だった。追い抜く選手たちからは、「まじかよ・・・」って感じの言葉を投げかけられていた。それくらい調子に乗っていた。


一方高野くんは眠そうだ。ここが離しどころである。一気に抜き去り、勝山エイドへひた進む。

エイド手前では、昨年準優勝した「~coast to coast~ 房総半島横断2018」で唯一敗北した(つまり優勝者である)三浦さんに追いついた(写真右)。こういう大物をキャッチできるのUTMFならではである。借りは返したぜ!へへん!(嘘

ここでの総合順位は153位。チーム内順位も1位になり、なんとなく相方さんの顔が誇らしげでもあり、それもまた嬉しかった。ここに来てTomoさんの「男を見せろ」が腹に落ちてくる。

僕はおしゃべりなので、エイドに着くと、その区間中に何があったのかをひたすら喋りたくなってしまう。ここでもひたすらに喋っていたと思うんだけど、喋りすぎると体が冷えるので、早々に退出。ここから天気が晴れてくる、という予報を信じて、インナーをキャプリーンから乾いたTシャツに着替え、エイドを後にする(失策)。


丹羽薫選手との貴重な並走

勝山を出てしばらくすると、朝が近づいてきた。日が昇ってきてお日様の存在を認識する。夜間トレイルをしていると、本当にお日様のありがたさを思い知らされる。とにかく元気がでた。

ここで追いついたのが、昨年日本人女子トップだった丹羽薫選手である。ちょうどペースが近いこともあり(丹羽さんも追い上げていた)、しばらく並走させてもらうことにした。


本来的には、丹羽さんはこんなポジションで走っているはずのない選手。おそらく調子が出ないんだろうということは推察できた。だから会話は最小限。


「中国の女性選手がぶっ飛ばしてるらしいですよ」


レースが始まってから、はじめてトップ選手の情報を聞いた気がする。そうだ、ここはUTMFの舞台。上位はグザビエとかが争ってるんだった。そういえば名取どうなったかなぁ、そろそろ100km地点だから追いつかないとなぁ・・・(名取選手には100kmで追いつくと事前に公言していた)。

正直、トップ選手の動向には興味がなかった。どうせ追いつけるわけないし、一旦僕はこの調子の良さを維持して、気持ちよく100マイルを走りきりたい。どこまでも適当な僕。しかし丹羽さんは、


「(中国の選手)落ちてこないかなぁ〜」

「由香里ちゃん、途中から調子上がったっぽいからなぁ、次で追いつけるかなぁ〜」


などなど、まだ口調は諦めていない。ここから順位を上げる気でいる。明け方のこの眠気が襲ってくる時間帯でこのメンタリティ。とにかく前へ、前へと歩みを進める。


その姿に僕も鼓舞され、後ろ姿を追う。時折下りで抜き返しながら、ほぼ同タイミングで忍野エイドへ。丹羽効果、もあってか、僕の順位はついに100位前後まで上昇していた。


山中湖きらら、からUTMFが始まる

UTMFを走ったランナーがよく口にするのは「山中湖きらら(127kmエイド)から、本当のUTMFが始まる」というセリフ。

忍野を出るタイミングで西城選手(「~coast to coast~ 房総半島横断2018」で2位争いを繰り広げた名選手)に追いつかれる。「どうせ山岳で追いついてくるんだろう?笑」と林道区間でさすがの走りを見せる西城さん。「いやぁ、あとでなんとか追いつきます!」と僕。


正直忍野〜山中湖きららの間は記憶が飛んでいる。飛んでいるんだけど、山中湖きららエイドにはサポートがいる。とにかくサポートに会うことを楽しみに、とにかく走り抜いた。


山中湖きららでの順位は92位。しかし到着している選手はみんなゾンビになりかけており、僕がダントツでフレッシュだった。

また先に到着している選手に星野由香里選手がいた。かなりつらそうだが、彼女をサポートしている人気ブランド「Answer4」のメンバー総出で彼女を元気付けている。

彼女もまた、昨年エイドボランティアをしていて感銘を受けた選手。丹羽選手の姿が見えない。どうやら星野選手を追い抜き、すでにエイドを後にしていたようだ。密かにスゲェな、とガチリスペクトだった。


一方僕は、最小限の補給とトイレを済ませるだけにした。その間に星野選手がエイドをスタート。僕もその数分後、彼女(星野選手)を追うようにエイドを後にした。


UTMF二十曲りエイドはパワースポット

獲物?があると僕は強くなるらしい。

すぐ前にいる星野由香里選手を目指し、ペースを上げる。登りで追いつき、お互いに「がんばろう!」と声をかけ、一気に登坂する。ここで早そうなランナーを数人抜いた。


きっとこの山は、天気が良ければ富士山の絶景が見られたエリアなんだけど、霧でなんも見えない。だが、それで良い。とにかく集中して山をクリアした。


ここをクリアすれば、知り合いがたくさんいる渋井さん率いる二十曲りエイド(通称MMA+トリッパーズエイド)だ。この「誰かがいる」という感覚はなにゆえこんなに元気をくれるのだろう。僕のエンジンはこの火一番の点火を見せた。

特に下りではショートレースばりのスピードを見せ、ここでの区間順位は12位と最高速だった(あれだけ飛ばしても上には11人いるのか・・・)。やっぱりトレイルは楽しいなぁ、最高だなぁ。

そんな気持ちで爆走し、二十曲りに到着。二十曲りはUTMFの中で一番小さなエイド(?)だけど、多くの見知った顔が出迎えてくれる。これからラスボス「杓子山」に挑むのにこれほど心強いことはない。

渋井さんは「すごいじゃん!速いじゃん!」といつもよりテンションが高い笑 UTMF効果。そしてやまぴーさんにコーラを注いでもらい、中台さんからは元気をもらった(紅茶を飲みたかったが、僕のコップが熱湯に耐えられなそうだったので断念)。

上は中台さんに撮影してもらった写真。140km地点とは思えないほど、目に力がある。元気がある。正直「全能感」に近いものを感じていて、自分はどこまでも走れるぜ!って感じがしていた。

一方、とはいえ140km地点である。しかも天気予報に反して寒い。選手たちはこのエイドに滞留してしまいがち。この心地よいエイドをいかにすばやく出るか、がポイントなのだ。


ここでの順位は49位。A2麓エイドの359位から310人もに抜いてきたのだ。このままのペースで行けば、目標の30位以内も見えてくるかもしれない。


僕手早く補給を済ませ、みなぎるパワーと共にラスボス「杓子山」に向かった。



続く》》》UTMF2019参戦記ー後半戦(二十曲り〜ゴール)





中盤戦は長い。51km地点から140kmまでの約90kmが僕にとっての中盤戦だった。

結論から言うと、僕はこの区間で359位→49位へと、スーパージャンプアップに成功する。おそらく完走した中で一番ジャンプアップしたのではないだろうか?とにかく前半戦とは別人だった。心の底から楽しい90kmだった。


夜間トレイルで野生が(ほんの少しだけ)覚醒する

麓エイドを後にすると、あたりは真っ暗。ヘッドライトとハンドライトを同時につける。今回チョイスした「LEDLENSER」は充電の持ちもよく、存分に使って大丈夫ということはテスト済みだったので、とにかく思う存分自分の周りは明るく照らす。

僕はお化けを見たことはないけど、いないとも限らないと思っている。だから、夜間トレイルはそこそこ怖い。なんならこのコースは青木ケ原樹海を深夜に通る。それはかなり怖い。(ちなみに相方さんに「青木ヶ原樹海」の事を話したら、そもそも樹海が自殺の名所というのを知らなかった。ジェネレーションギャップなのか、ゆとり教育の賜物なのか知りたい)


そんな適度な恐怖心みたいなものが、僕の野生に火をつける。

確か竜ヶ岳の下りだっただろうか。そのあたりから覚醒し、続く本栖湖のエイドには元気いっぱいの状態でピットインする。

この区間、僕は50人以上を抜き、エイド到着順位は301位だった。


UTMFはレジェンド含有率が高い

UTMFがUTMFたる所以の一つに、レジェンド含有率の高さがある。つまり、スタッフやサポート、選手としても有名選手が多いのである。これは他の大会ではなかなかない。というか、ない。

本栖湖エイドでのポジティブサプライズは、リビングレジェンド石川弘樹さんだ。弘樹さんは昨年「二十曲りエイド」で一緒にスタッフをさせて頂き、心の底からその紳士さに惚れ込んでいるのだけれども、ここでも元気をもらった。

「これから、これから」


弘樹さんのセリフそのままを口付さみ、次のエイドである「精進湖」を目指す。この区間は唯一試走をした区間であり、あらかたコースの内容は頭に入っている。知っている、というだけでこれだけ楽になるなら、もっと試走をすればよかった笑

とにかくここの区間はスピードアップした。


嫌いだが得意なロードもあるので、ここで踏ん張り順位を上げる。青木ヶ原樹海にも突っ込むが、もはやお化けより夜通し走っている俺らのほうが怖い。お化けもびっくりだろう。


そんなことを考える余裕も出てきた。信越でペーサーをやってくれた「世界の小松」に言わせると、僕は「不可解」だそうだ。たぶんメンタルに左右されすぎるところがあり、自分でもコンディションをつかめないところがある。そして、こういう余裕が出てくると、僕は強い


本栖湖エイドは唯一のドロップバックが許可されているエイド。何を補給するか、何をするかを決め、冷静な状態でピットイン。

寒さ対策のため、ウエアを着替える。靴下も替え、ワセリンを塗り直し、シューズも「テラカイガー5」から「ティンプトレイル」に履き替える。


ここから新しい100kmレースが始まる。そんなフレッシュな気持ちで精進湖エイドを後にした。


続く》》》UTMF2019参戦記ー中盤戦②(本栖湖〜二十曲りエイド)