【超長文レポート】ふかやシティハーフマラソン
「翔んで埼玉」でにわかに活気付いている埼玉県は深谷市。ネギの街、深谷。ネギ以外は特に何もない街、深谷。
なぜネギが嫌いな僕がこのレースに出ようと思ったのか、記憶が定かでないが、兎にも角にもその深谷市で開催される「ふかやシティハーフマラソン」に参加してきた。
いきなりネタバレになってしまうが、走っている最中、面白いことは何一つなかった。だってそこは深谷だもの。
今回も勝田全国マラソンのようにライバルがいない。ヴェイパーフライもついに手に入れたので、「ヴェイパー狩り」もできなければ、J.P. Morganも発見できなかった。
今思えば、日光マウンテンランニングのレポートで「超長文」シリーズを超調子に乗って書いてしまい、それが地味にウケタからと言って、毎回レースに出るたびに超長文シリーズを続けてきたため、頭が「超長文脳」になってしまっているのだ。
レースに出れば、自己ベストを出すことよりも、頭の中は「ブログのネタになるようなことはないか」という疑問文で埋め尽くされている。
人間の脳みそは非常に優秀で、適切な問い、質問を投げかければ、その質問がレーダーとなって、解となる情報を探し出してくれるというが、僕の脳みそはポンコツワンダホーだったようだ。ネタになるようなことは見つからなかった。
However、しかしながら。書いてるうちに面白いことが見つかるかもしれない。とりあえず、話を進めてみよう。
9:50、スタート。
今回の目標タイムは78分。
序盤、少しハイペースで入り、心拍をあげる。体調を観察する。今週は月曜から体調を崩してしまい、飯も食べられず、寝たきり状態が続き、体重も減っていた。
バッドコンディション。
観察するまでもなく、異変はすぐに訪れる。3キロすぎて、足が重たい。呼吸も荒い。
4キロ、これで最後まで走れるのか?と思うほど、お尻に張りを感じる。
5キロ過ぎて、早くも四頭筋に乳酸が溜まっている感じがしてきて、「あれダメかもしれない」というセリフが頭を横切った。
明らかに体調は悪い。下痢が続き、胃が荒れていたため、走っているだけで、軽い「差し込み」が入ってるかのような痛みが常にある。やはり続けるべきではない。
色々考えて、7キロ地点で足を止めた。完全にストップ。
そう、止めたのだ。こんなにちゃんとレース中に足を止めたのは初めてかもしれない。そもそもロードレースでのDNFは記憶にない。
それにもかかわらず、あまりにも早いリタイアの決断。たぶん、相当苦しかったんだと思う。流石にそこまではメンタル弱くない。
僕はこの決断を正当化しようとした。「選んだ道を正解にする」と良くいうではないか。リタイアをきちんと正当化しよう。
UTMFがあるんだから、ここでの故障は避けるべきだし、強度の高い練習を翌週行うためにも、無理するべきではない。そこそこ、正当化はできる。
しかし追い抜くランナーは僕よりも息が乱れている人もおり、当然諦めていない。諦める勇気、諦めない勇気。どちらも正しいけれど、僕が取るのはどちらの勇気か。
10秒ほど悩んで、僕は諦めない勇気、を選択した。
息の乱れた通称「ヒゲメガネ」が先頭を引っ張る、たぶん81分くらいのペースの集団につく。少しペースが緩いので、心拍が落ち着く。
気分転換にジェルを入れ、気持ちも落ち着かせる。
これらの処方が良かったのか、先ほどまでの足の重さは少し軽減され、かなりポジティブに走りができるようになってきた。
少し、ペースを上げ、「ヒゲメガネ」とオサラバする。
10kmを過ぎ、中間地点も超えた。
タイムは39:45くらいだったと思う。まだ、希望はある。このまま上げていければ、目標に近いタイムは狙えるはずだ。通称「青帽子」も抜いたし、Anser4で全身を纏った「高尾まみれ」も抜いた。いける、調子は完全に戻ってきた。
その時である。
そこはかとなく薫ってくる、、、
埼玉臭だ。
いやそこはかとなくない、明確な埼玉臭 a.k.a.養鶏場か養豚場の大量の糞の香り。
もう「目口埼玉病」である。鼻で息ができない。口で吸っても埼玉の香りがする。これが「くさいたま」か。
苦しい。
「口が埼玉になるわ!」と「翔んで埼玉」の名ゼリフがあるが、そのくらい臭かったし、口呼吸を余儀なくされたあの区間は本当に苦しかった。
恐るべし、埼玉。恐るべし、深谷。
しかし、そんな東京人ぶっている僕は、埼玉出身である。そんな深谷とはエリアが違うが、一面「茶畑」だらけの、これまた埼玉臭のするエリアで育った。
夕方にはコウモリが飛び交い、語尾には「だべ」がついていたエリアだ。
そんな環境で僕は20年ほどを過ごしたのは紛れも無い事実。
この埼玉臭により、僕の中の埼玉人が目を覚ましたのかもしれない。埼玉には自然がたくさんあり、野生児が多い。僕の中の埼玉が目を冷ますということは、すなわち野生が目を冷ますことと一緒だ。
下がりかけていた僕のペースが、一気に上がる。蘇る埼玉。行け!埼玉。
7キロ地点で足を止めた時に、追い抜いていった人たちを、一人ずつ交わしていく。
抜き去り際、
「おまえ、さっきら歩いていたのになぜ?」「潰れたんじゃなかったのか!」「埼玉のくせに!」「埼玉県民にはそこらへんの草でも食わせておけ」
そんな、彼らの声が僕の脳みそに直接響いてくる。わかるわかる、僕にもその気持ちはわかる。でも僕はやっぱり君たちより早いんだよ、じゃあね。てか、おまえも埼玉だろ!
にわかに調子に乗り始める埼玉人。先ほどまでリタイアしようとしていたとはおもえないくらいの調子の乗り方だ。でも、このくらいのメンタルの時が僕は一番調子が良いのだ。このまま行こう。
そんな埼玉、もとい僕に、突如として立ちはだかったのは、、、またしてもあいつだ。
ヴェイパーフライ4%だ。
しかし今回は味方のはず。僕の足元は紛れもなくヴェイパーフライだ。ヴェイパーフライ4%で、僕のタイムは4%速くなるはずだ。
、、、なるほど、内乱か。ヴェイパーの乱、勃発。
漫画「ナルト」における九尾の狐のような存在なのかもしれない。多大なる力を持っているが、暴走したりすることがある。ナルトと九尾の狐、僕とヴェイパーフライ。
僕はまだこのシティ派ナイキ様の「ヴェイパーフライ」をコントロールできていないようだ。いやもしかしたら、シティ派プロダクトだから埼玉のぼくには一生履きこなせないのかもしれない。
ヴェイパーフライを履きこなすためには、①走り方、②足の形、そして③ヴェイパーフライにあった筋力。この三点がうまく揃わないと4%の力は引き出せない。と、埼玉人は思っている。
僕の走り方にヴェイパーは合っている。しかしヴェイパーを履いたことにより蹴り出しが強くなった分、お尻に負荷がかかり、この筋肉は育っていない。後半、かなりお尻からハムストリングが厳しかった。もうブリンブリンだった。
そして、何より「足の形」がぼくに合っていない。足の甲の高さが合っていないため、少しきつく縛るとアッパー一体型のヴェイパーは生地が余ってしまうし、少し山のあるインソールがぼくの低いアーチには全く合っていない。
速いがダメージもすごい。プラマイでいうと、ヴェイパーフライ1%だ。これが、今のところの僕のヴェイパーフライへの感想だ。まさに九尾の狐、諸刃の剣、関根勤。
結果として、ぼくの中の九尾の狐=「ヴェイパーフライ」は僕の左足裏に大きなマメを作りやがった。
シティ派のいじめは陰湿だ。こういう見えないところでいじめてくるのだ。
残り5kmはこのマメの痛みとの戦いだった。
グロス 1時間19分57秒
ネット 1時間19分44秒
シティ派の地味ないじめに負けることなく、なんとか3秒を削り出して、最低目標である80分ギリを達成。
九尾(ヴェイパーフライ)をは着こなし、火影(フルマラソン2時間40分切り)への道はまだまだ遠く険しい。次回、はなももマラソンに続く!ちゃんちゃん。
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