【超長文レポート】第67回勝田全国マラソン
本日開催された「勝田全国マラソン」。
ベンチャーで13年鍛えられた屈強な達成マインドにより、
勝田全国マラソン
2時間47分43秒(グロス)
自己新記録、自分史上最速達成。36歳、まだまだ伸びる。身体的成長は間違いなく内的な成長の根拠になってくれる。
さて、今回はこちらの記事にも書いた通り、前半抑えて後半上げていく「ネガティブスプリット」を地で行った。結論、性格の悪い僕には、前半抑えて相手を観察し、みんなが失速し始めた時に抜きまくるこのスタイルが合っているようだ。
プロ選手は「あえて狙ってネガティブにしなくても自然とそうなるのが良い」とかかっこいいこと言ってる(主に大迫さんとか)が、圧倒的市民ランナーの僕は意図的にやらないと前半突っ込んで撃沈してしまうのである。数学ができる人ができない人の気持ちがわからないように、プロランナーは市民ランナーの気持ちがわからないのだ。
とにかく抑えに抑える、圧倒的に抑える。結果的にはこれが功を奏した。
一方で、実は不安材料を多く抱えていた。
今年は一月に入ってから三連戦してきていて、その全てが目標未達(前半二つは自己新記録ではあるのだけど)。
- 1週目:オトナのタイムトライアル 10km:36分41秒
- 2週目:TAMAハーフマラソン:1時間21分42秒
- 3週目:ALTRA TIME TRIAL 5km:17分40秒
とくに先週行われたアルトラタイムトライアルでは17:41という、個人的には結構ショックな(悪い意味で)タイムを叩き出してしまい、かなりメンタルをやられた。いや嘘だ。そんなことでメンタルやられるほど繊細にはできてないんだけど、とはいえ確実に自信は削られていた。
さらに、ケアのためにマッサージに行くと、疲労がかなり溜まっているようで、どちらのマッサージに行っても(渡邊は二つのマッサージ屋さんを交互に行っている)、「うーん、なんか変だ」「相当な張りがある」「なんかゴワついている」など、感触の悪いフィードバックをもらっていた。不安になるやん。
そして、最後の不安材料。前回のTAMAハーフと同じくライバルが不在だったのだ。
勝田に知り合いはたくさん出走するものの、走力的に僕と噛み合う人が見つけられず、埼玉県産戦闘民族としては、なかなかに心細いままスタート地点につくことになった。
スタート地点では、一人漫才のように司会の人(?)が話しているが一旦イヤホンを耳に深く入れて、TOKONA-Xの「知らざあ言って聞かせやSHOW」を聴きながらテンションを気合を入れる、集中する。(ちなみに日本語HIPHOPは基本的に苦手であり、こういうドスの聞いたやつとかだけ例外的に聞いている。しかしTOKONA-Xについてはほぼ何も知らない)
力なくスタートの音がなった。つくばと同じくBウェーブスタートだったが、ストレスなく進むことができた。(勝田、おすすめ)
レースが始まっても、ライバル認定できるような人が見つからない。序盤は明らかに無理して飛ばしてる人も多く、その走り方だと30kmどころか20kmくらいで壁るぞ?という方が散見される。
そんなふわふわした状態でラップを刻む。GADOROのラップを心に刻む。ヒップホップは聴きすぎるとペースが遅くなるので危険だ。とにかくキロ4分くらいを淡々と進む。(ちなみにGADOROのこともよく知らない)
スタートして15kmくらいが経過した頃、ふととあるシューズたちが視界に増えてきた。
世界記録保持者もチョイスし、日本記録保持者も愛用するあのシューズ。東海や東洋大学の選手が軒並み使用し、先の福岡国際で服部優馬も履いていたあれだ。
でも、ぼくの手元には一向にきてくれない、あのシューズだ。
そう、ヴェイパーフライ4%だ。
愛し過ぎて愛し過ぎて、それでも手に入らず最近はニセモノまでつかまされ、憎悪すら感じているヴェイパーフライ4%。最近に寝つきが悪いのはヴェイパーフライのせいではないかと本気で思ってる。もちろん嘘だ。
僕は決めた。徹底的にヴェイパーフライ履いてるやつを、圧倒的に抜き去ってやろう、と。ヴェイパーフライ狩りの始まりだ!
20kmを過ぎ、サブエガイーブンペースのランナーを捕まえ始めると、ヴェイパーフライ比率がさらに高まってくる。やはりヴェイパーはシリアスランナーにも受け入れられているようだ。すこし前までは「厚底とかシリアスランナーが履いたらダメでしょ」とか言ってた人たちが、俄然履いている。こうやって既存のルールは、知らぬうちに変わっていくのだ、何事も。
ナイキのプロダクト開発力、マーケティング力の底力を感じた瞬間だった。ナイキ、マジですごい。ほんとすごい。リスペクト。
でも、でもね。
おれは持ってないんだ。持ってないんだよ。
ヴェイパーフライ4%を。
おれは持ってないんだーーーーーーー!
(ここはウザいと思いますが、クリリンのことかーーー!風にお願いします)
ということで、もう、完全に抜き去る。決めた。
抜き去り際、
「おまえ、おれに並ばれてる時点で4%負けてるから」
とか、
「おれがヴェイパー履いてたら今より4%早い時間に抜いてるから」
とか、
「ちなみにヴェイパーの意味知ってる?高速で移動する航空機から出る湯気って意味なんだぜ?でも俺のほうが高速で抜いちゃうんだけどね、へへん」
なんてことは全く思ってないわけだけど(苦笑)、ヴェイパーフライヤー(ヴェイパーを履いている人)を抜き去るたびに、4%ずつ加速していくイメージがあった。アンチヴェイパーフライブースト4%だ。いや、アンチでは決してない。
しかし、やはり抜くのは気持ちがいい。とくに後半になるとみんな走りが垂れてくるので、まったくヴェイパーフライの性能を活かせていない。もっと骨盤を前傾させて、最低でもミッドフットで着地するんだ。反発を生かして、それを推進力に変えるんだ!もったいないじゃないか!俺にくれ!
そんなランナーのフォームを見て我がフォームを直せ。25km付近からフォームのスイッチを再度入れ直し、フォア気味でロングスパートに入る。絶対おれのほうがヴェイパーの性能を活かせる。俺が履いたらヴェイパーフライ8%くらいになると思う。
後半戦、5kmごとに20秒近く縮めると、周囲をかなり圧倒できる。30km付近では僕の「ヴェイパー狩り」は、「エアマックス狩り」レベルで多発していた。「マックス狩り」は暴力で奪い取るが、「ヴェイパー狩り」は走力で順位と自信を奪い取る。
これはいける。サブエガ。なんならサブエガパパ(江頭2:45)すら狙えそうなところまでペースが上がってきていた(これは勘違いだった)。
35km手前からいやらしいアップダウン、そして向かい風が続き、無理やり「壁」を作ってくる勝田全国マラソン。バタバタと失速していくヴェイパーフライヤーたち。
トレイルランナー代表として(?)坂で負けるわけにはいかない。登りでも下りでもどんどんヴェイパーたちを拾っていく。
しかし流石に疲れた。そろそろしんどい。結構頑張ったし、かなり抜いてもサブエガは硬そうだ。もうちょっと抜こう。そうしよう。
そんな誘惑に駆られていた時、本日一番悪い(?)ヴェイパーフライヤーが前方に現れた。
履いているヴェイパーフライは最近発売されたばかりのブルーカラー。
そして着用しているシャツにはこの文字が、、、
J.P. ◯organ
許せない。
こんなヴェイパー、許せるわけがない。
僕が全くゲットできないヴェイパーフライをゲットしているだけでなく、俺よりはるかに高い年収を稼いでいるだと?(そんな人はたくさんいる)
というか、なぜおまえそのシャツ着てきた!外資系は会社に縛られないんじゃないのか!なぜいきなり休日に帰属意識だしてるんだ!なんだあれか?自慢か?自慢なのか?後続ランナーに金持ってるアピールをしてるのか?(J.P. ◯organに対する偏見がひどいことをお詫びします)
などと思い闘志がメラメラ湧いてきた。多少無理をしてでも、このヴェイパーフライヤーだけは倒さなければいけない。
すこしスピードを上げ、後ろに着く。あえてJ.P. ◯organの名前を目に焼き付ける。外資金融 VS ITベンチャー。就職活動では確かに負けるだろう。年収でも負けるだろう。果たしてメガベンチャーが勝てるのはなにか。夢か?希望か?ビジョンか?
とりあえず今は怒りだ、一方的にこみ上げてくるこの怒りだけは勝てる。
怒りや嫉妬のような負のパワーは非常に強い。負のパワーを長いこと使うと悪人面になるから進めないけど、ラストスパートくらいなら良い。怒りのラストスパートだ。
なんてふうに盛り上がっているのは僕だけで、37km付近、僕はヴェイパーフライヤー a.k.a. J.P. ◯organを抜き去った。メガベンチャーが外資金融に勝った瞬間だった。
そこからは46-48分でのゴールが見えたため、今後の練習に支障が出ないように、出し切らないようにペースを調整してゴール。
やっぱり後半上げていくスタイルは気持ちが良い。この1年成功しているレースはすべて後半上げられているレースだ。このスタイルを今後も確立させていきたいと思う。
最後に。
J.P. ◯organの方、ネタっぽく書いてしまいすみません。皆様がいるから世界経済が回っております。尊敬しております。
また、ヴェイパーフライ4%様、ひいてはNIKE様。ヴェイパーは素晴らしいシューズであり、何を隠そう僕が本日履いていたのは「ズームフライFK」です。完全にNIKE経済圏に取り込まれてますし、ここ数年は完全にNIKE様の勝ちだったと思っております。
参考になるかわかりませんが、僕のランニングデータはこちら。
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