【超長文レポート】オトナのタイムトライアル

昨日初めて「オトナのタイムトライアル(通称:OTT)」に参加してきた。


できるビジネスパーソンらしく、結論から述べておくと、


「参加してよかったし、次も参加したいし、トレイルクラスタのあなたもぜひ出ましょう」


なんだけど、その理由をツラツラと上げていきたいと思う。


本ブログの目的は、読者のあなたが「次の『オトナのタイムトライアル』にエントリーしよう!」と思ってくれることであり、また主催者の皆さんの目に触れるのであれば「ああ、やってよかった」と思っていただくことだ。


一期一会、一球入魂。それでは始めたいと思う。


まず、なぜエントリーしたか?について。

近年トレイルランニングの世界も「高速化」してきているのは周知の事実だと思うが、僕の周りでも速い選手ほどオフシーズンのこの時期にスピードの磨き込みをしている。


日本のトップ選手である上田瑠偉くんなんかもこのようにトレイルランニングにおけるトラックの重要性を述べていたりするし、

トレイルランニング業界で彼を知らない奴はモグリと言われる名取くん(会ったことない)もこのように発言してたりする。

トレイルランナーはおしなべて平地が大っ嫌い。コンクリを走ることは苦行だと思っているし、トレイルに入った瞬間に息を吹き返すことはしばしば。そう、トレイルランナーは走ることが好きなんではなく、トレイルを走ることが好きなんだ。


さてさて、とは言っても、トレイルをより楽しむためには、そしてスピードを磨きこむためには、大嫌いなロード練習をしなければならない。


そしてまずは、自分がどれくらいのスピードの持ち主なのか、自分の現在地を正確に把握することも必要だ。

そう思ってトラックの記録会をサーチしていた。


もちろん「オトナのタイムトライアル」のことは知っていた。


僕の周りの「陸上系クラスタ」の人たちが盛り上がっている、あのイベントだ。その季節になると、動画や写真がたくさんアップされ、その熱気が伝わってきていた。

大抵の言葉は「オトナの、、、」とつけると卑猥な意味になること請け合いなんだけど、「オトナのタイムトライアル」はそんなピンク感は全くなく(ピンクのウェアは比較的いるけど)、大の大人が休日にゼーハーするという、非常にさわやかなイベント?である。


一方で、こんなことを言われている気もしていた。


「トレイルランナーはお呼びじゃないよ」


事実、昨日参加した感じだとトレイルランナーは1割に満たないマイノリティであり(見た目的に)、完全にアウェーだった。キャップをエロ被りしてる奴なんてほとんどいなかったし、速い人はみんなタンクトップだった。MMAやanswer4を着ているヒトはごくごく少数だった。


しかしここで僕は思い出した。

脳科学者の茂木健一郎さんが「アウェー脳を磨け」、と言っていたことを。そしてまた僕が学生に対してよくしていた質問、「アウェーだと思っていたものをホームにした経験はいくつくらいあり、それはどんなものですか?」という質問も思い出した。


自問自答した。

そう、アウェーこそ成長の源泉だ。「オトナのタイムトライアル」はまだ僕にとってアウェーな存在だ。新しいバイトの初日みたいな距離感だ。

しかしこれさえホームにできれば、僕はまた人間的に成長しちゃう。そう思ってポチりとエントリーした。


しかし当日。僕は逃げ出したかった。走りたくなかった。

なぜか?その理由もできるビジネスパーソン的に端的に三つあげてみよう。


①年末年始走り込みまくり、直近一週間で200kmほど走っていた。(strava参照)

②前述に施術してもらったマッサージからは「さすがに張りが強いからやめておけば?」とアドバイスされた。

③朝体重を測ったら72キロに増量していた。


上記の通り。帰納法的に共通要素を導き出してみるならば、端的に「パフォーマンスが悪いことが予想されることに自分の貴重な時間を投資するべきか否か」ということに尽きた。

自分の現在地を知るために出場するのに、最大パフォーマンスが出ないのであればそれは現在地と言えるのか。その時間を有効活用し、仕事したり、LSDしたりした方が良い時間の過ごし方なのではないか。


僕はしばしばこういう近視眼的な誘惑にとらわれることがある。「代替案の誘惑」は理路整然としており、なかなか回避するのが難しい。まだまだ修行中の身。メンタルがあまちゃんな僕はしばしばこの一見賢ぶった誘惑に負けてしまう。


こういう時こそ大局的に見る必要がある。単純に今日だけのパフォーマンスだけ見ればそうかもしれない。

しかし今月末に控えている「勝田全国マラソン」までのトレーニングスケジュールを考えると、ここで10kmを本気で走る刺激入れておきたいし、ここでスピード練習をしておかないと、今週の練習の組み立てが根本から崩れる。

プランBはない。作成する時間もない。こういう不利な状況で決断できてこそ活躍できるリーダーではないか。


確かにベストは出ないかもしれない。そんな時、僕はフィリピンのアロヨ元大統領の言葉を思い出した。


「ベストよりベターを狙う。ベターを積み重ねることでベストに近づいていく。」


ベストでなくていい。ベターを積み重ねるんだ。ベストだけを狙うと、動けなくなってしまう。ベストに囚われては成長はないのだ。リーンスタートアップ的な考え方ではないか。日本的な「完全主義」は陸上競技にだって時代遅れだ。


僕は出場を決めた。

会場は自宅から走って2.5kmにある駒沢公園競技場。外からは100回は見ているが、中に入るのは初めて。スタジアムというのは中に入るだけで謎にテンションが高まる。


受付はとても楽チンだった。特に持ち物はなく、名前を言えばエントリー完了。十数組に分かれているため、受付が混雑することもなく、ストレスフリー。なんと素晴らしい運営だろうか。


参加賞にVAAMゼリーとVAAMドリンクをもらい、スタジアムの中へ。ゼッケンをつけ、ウォーミングアップを行う。競技場脇に荷物も置けるし、貴重品も預かってもらえるから不安は一切なし。トイレも競技場内・外にあるので、余裕を持って準備ができた。

ウォーミングアップをしているとやはりカラダは重い。明らかにベストコンディションではない。しかしながら温め続けると次第にカラダはほぐれてきて、15分後くらいにはいくらか軽さを手に入れた。これは案外イケるかも?ここに来て初めてやる気が出てきた。


さて、程なくして僕らの出番だ。僕のカテゴリ(10000m3組目)の出走はどうやら51人。申請タイム36分以上の皆さんなので、正直みんな速そうだ。ビビリの僕は、最後尾からスタートする。ターゲットペーサーは36分だ(カテゴリごとに30秒刻みでペーサーがいるのも本協議会の特徴)。


400mのトラックを10,000m走るということは、25周するということである。これがまぁ途方もなく長く感じる。というか走り出してからこの事実に気づいた。焦る。

またトラックの内側をみんな走りたがるので、スタート直後は選手間の感覚が非常に近く、結構ぶつかりそうになる。なんなら僕の後方で一人ランナーがぶつかり転倒していた。この感覚、予断を許さない感じはトラックに独特に存在するものだ。


僕はというと、最初2km(5周)くらいまでは割とイージーだったのだが、3km地点くらいから一気に足の重さを感じ始め、最初の給水。給水もボランティアスタッフが手渡ししてくれるし、ゴミもサポートランナーが持ってくれるので至れり尽くせり。OMOTENASHIの国ニッポンを実感せずにはいられない。そんな手厚いサポートのおかげもあり、ペースを崩さずに足を進める。


しかし5kmをすぎる頃にはだいぶきつくなっていた。明らかにペースがダウンし、ペーサーから遅れ始める。向かい風もきついし、正直辞めたい。なんで正月休みの最終日にオレはこんな苦しいことをしてるんだ。アホか。もうやめよ、ほんとやめよ。


そういう思いが僕の頭の中を交錯するわけなんだけれども、トラックの周りにはたくさんのヒトがいて応援してくれており、一秒たりとも気が抜けない。途中で顔見知りの方々も僕に気づいてくれて、めっちゃ応援を送ってくれている。これはもう、辞めるなんてできない。


辞められない。へばっているところを見せられない。


きっと全国中継されている箱根駅伝の選手たちは、この何倍ものプレッシャーの中走り抜けるのである。そんなに顔アップされたら可愛そうだろ、と思うくらい、テレビ局は容赦なくカメラを寄せてくる。そんな周囲からのプレッシャーが、時には区間新記録を生み出したりするのだろう。能力開発にこういったプレッシャーは不可欠なのだ。馴れ合いから偉業は生まれないのだ。


僕はふと自社の社長の著作のタイトルを思い出した。

そうなのだ。アウェーだと思って期待していなかったが、実はけっこうちゃんと見られているかもしれないのだ。あわよくば応援してくれている女性の幾人かが「あのヒトかっこよくない?」と思ってる可能性も決してゼロではない。可能性を捨ててはいけない。


僕は粘った。


7kmを越えて、不安材料だった左太ももに痛みが出始めた。そろそろ限界が近づいてきたのかもしれない。しかしブルース・リーの「限界などは無い。ただうまくいかない時があるだけだ。だがそこに留まってはいけない。それを超えていくのだ。」という言葉を思い出し、ただ限界を越えていくことだけに集中した。


この大会は本当にホスピーで、個々人に対してスタッフが「あと●●周です!」などと声をかけてくれる。ありがたい。とにかく振り絞りゴール。(振り絞りすぎてカラダ揺れすぎ)



なんとか最後巻き返し、10kmを終えた。


記録は36分41秒。


及第点と言える36分台で人生最初のタイムトライアルを終えることができた。順位は41位/51位でしたが、順位なんてどうでもいい。言い訳したがりボーイズな自分に打ち勝って参加し、それなりの記録を出せたことが誇らしかった。


最後に、本大会の良いところを、やはりできるパーソンらしくまとめて終わりたい。


①時間的パフォーマンスが高い。自分の出走する時間の少し前に到着すればよく、大きなマラソン大会のような予備時間がほぼなくて良い。お土産(?)もVAAMゼリーとドリンクなどがついて、価格も3,000円ぽっきり。ROI高いと思う。

②いろいろホスピタリティに溢れている。ペーサーの量が多いし、ペーサーはかなりの一流レーサー。受付や給水などにストレスはなく、はじめてのトラックレースを気持ちよく終えることができた。

③自己記録が出やすい。のではないか。先にも書いたとおり、ストレスがないためレースに集中ができる。直前までアップできるし、直前にトイレに行ける。ペーサーも充実してるし、トラックを囲む応援があるから実力を出し切ることができる。


このように、とても満足度が高い大会でした。次回も10,000mがあるなら、万全に整えて34分台を狙います!運営スタッフ、ボランティアの皆様ありがとうございました!









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