UTMF2019参戦記ー中盤戦②(本栖湖〜二十曲りエイド)

精進湖を出て勝山エイドへ。この区間でチームメンバーの中で先頭を走っていた高野くんにようやく追いつくことに成功する。たぶん足和田山の山頂かな?

僕の調子は絶好調。登りも走って登っちゃうくらい元気。自分でも不可解だが、とにかく死ぬほど元気だった。追い抜く選手たちからは、「まじかよ・・・」って感じの言葉を投げかけられていた。それくらい調子に乗っていた。


一方高野くんは眠そうだ。ここが離しどころである。一気に抜き去り、勝山エイドへひた進む。

エイド手前では、昨年準優勝した「~coast to coast~ 房総半島横断2018」で唯一敗北した(つまり優勝者である)三浦さんに追いついた(写真右)。こういう大物をキャッチできるのUTMFならではである。借りは返したぜ!へへん!(嘘

ここでの総合順位は153位。チーム内順位も1位になり、なんとなく相方さんの顔が誇らしげでもあり、それもまた嬉しかった。ここに来てTomoさんの「男を見せろ」が腹に落ちてくる。

僕はおしゃべりなので、エイドに着くと、その区間中に何があったのかをひたすら喋りたくなってしまう。ここでもひたすらに喋っていたと思うんだけど、喋りすぎると体が冷えるので、早々に退出。ここから天気が晴れてくる、という予報を信じて、インナーをキャプリーンから乾いたTシャツに着替え、エイドを後にする(失策)。


丹羽薫選手との貴重な並走

勝山を出てしばらくすると、朝が近づいてきた。日が昇ってきてお日様の存在を認識する。夜間トレイルをしていると、本当にお日様のありがたさを思い知らされる。とにかく元気がでた。

ここで追いついたのが、昨年日本人女子トップだった丹羽薫選手である。ちょうどペースが近いこともあり(丹羽さんも追い上げていた)、しばらく並走させてもらうことにした。


本来的には、丹羽さんはこんなポジションで走っているはずのない選手。おそらく調子が出ないんだろうということは推察できた。だから会話は最小限。


「中国の女性選手がぶっ飛ばしてるらしいですよ」


レースが始まってから、はじめてトップ選手の情報を聞いた気がする。そうだ、ここはUTMFの舞台。上位はグザビエとかが争ってるんだった。そういえば名取どうなったかなぁ、そろそろ100km地点だから追いつかないとなぁ・・・(名取選手には100kmで追いつくと事前に公言していた)。

正直、トップ選手の動向には興味がなかった。どうせ追いつけるわけないし、一旦僕はこの調子の良さを維持して、気持ちよく100マイルを走りきりたい。どこまでも適当な僕。しかし丹羽さんは、


「(中国の選手)落ちてこないかなぁ〜」

「由香里ちゃん、途中から調子上がったっぽいからなぁ、次で追いつけるかなぁ〜」


などなど、まだ口調は諦めていない。ここから順位を上げる気でいる。明け方のこの眠気が襲ってくる時間帯でこのメンタリティ。とにかく前へ、前へと歩みを進める。


その姿に僕も鼓舞され、後ろ姿を追う。時折下りで抜き返しながら、ほぼ同タイミングで忍野エイドへ。丹羽効果、もあってか、僕の順位はついに100位前後まで上昇していた。


山中湖きらら、からUTMFが始まる

UTMFを走ったランナーがよく口にするのは「山中湖きらら(127kmエイド)から、本当のUTMFが始まる」というセリフ。

忍野を出るタイミングで西城選手(「~coast to coast~ 房総半島横断2018」で2位争いを繰り広げた名選手)に追いつかれる。「どうせ山岳で追いついてくるんだろう?笑」と林道区間でさすがの走りを見せる西城さん。「いやぁ、あとでなんとか追いつきます!」と僕。


正直忍野〜山中湖きららの間は記憶が飛んでいる。飛んでいるんだけど、山中湖きららエイドにはサポートがいる。とにかくサポートに会うことを楽しみに、とにかく走り抜いた。


山中湖きららでの順位は92位。しかし到着している選手はみんなゾンビになりかけており、僕がダントツでフレッシュだった。

また先に到着している選手に星野由香里選手がいた。かなりつらそうだが、彼女をサポートしている人気ブランド「Answer4」のメンバー総出で彼女を元気付けている。

彼女もまた、昨年エイドボランティアをしていて感銘を受けた選手。丹羽選手の姿が見えない。どうやら星野選手を追い抜き、すでにエイドを後にしていたようだ。密かにスゲェな、とガチリスペクトだった。


一方僕は、最小限の補給とトイレを済ませるだけにした。その間に星野選手がエイドをスタート。僕もその数分後、彼女(星野選手)を追うようにエイドを後にした。


UTMF二十曲りエイドはパワースポット

獲物?があると僕は強くなるらしい。

すぐ前にいる星野由香里選手を目指し、ペースを上げる。登りで追いつき、お互いに「がんばろう!」と声をかけ、一気に登坂する。ここで早そうなランナーを数人抜いた。


きっとこの山は、天気が良ければ富士山の絶景が見られたエリアなんだけど、霧でなんも見えない。だが、それで良い。とにかく集中して山をクリアした。


ここをクリアすれば、知り合いがたくさんいる渋井さん率いる二十曲りエイド(通称MMA+トリッパーズエイド)だ。この「誰かがいる」という感覚はなにゆえこんなに元気をくれるのだろう。僕のエンジンはこの火一番の点火を見せた。

特に下りではショートレースばりのスピードを見せ、ここでの区間順位は12位と最高速だった(あれだけ飛ばしても上には11人いるのか・・・)。やっぱりトレイルは楽しいなぁ、最高だなぁ。

そんな気持ちで爆走し、二十曲りに到着。二十曲りはUTMFの中で一番小さなエイド(?)だけど、多くの見知った顔が出迎えてくれる。これからラスボス「杓子山」に挑むのにこれほど心強いことはない。

渋井さんは「すごいじゃん!速いじゃん!」といつもよりテンションが高い笑 UTMF効果。そしてやまぴーさんにコーラを注いでもらい、中台さんからは元気をもらった(紅茶を飲みたかったが、僕のコップが熱湯に耐えられなそうだったので断念)。

上は中台さんに撮影してもらった写真。140km地点とは思えないほど、目に力がある。元気がある。正直「全能感」に近いものを感じていて、自分はどこまでも走れるぜ!って感じがしていた。

一方、とはいえ140km地点である。しかも天気予報に反して寒い。選手たちはこのエイドに滞留してしまいがち。この心地よいエイドをいかにすばやく出るか、がポイントなのだ。


ここでの順位は49位。A2麓エイドの359位から310人もに抜いてきたのだ。このままのペースで行けば、目標の30位以内も見えてくるかもしれない。


僕手早く補給を済ませ、みなぎるパワーと共にラスボス「杓子山」に向かった。



続く》》》UTMF2019参戦記ー後半戦(二十曲り〜ゴール)





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