【超長文レポート】信越五岳トレイルランニングレース2019:110kmの部攻略大作戦
※戦略編はこちらを御覧ください。
レース展開は、スタート〜黒姫(52km)地点までを前半戦、黒姫〜フィニッシュまでを後半戦と位置づけて挑みました。前半は抑え、後半にランニング性能と下りで勝負する、がざっくりとした戦略です。それでは前半戦からお楽しみください。
※死ぬほど長いので、本当に暇な時とかに読んでいただければ。
■スタート→レストランバンフ(22km)
朝は3時半に起床した。起床後30分で用意を完了し、軽食を取り、適切に脱糞マネジメントを行い、30分前に会場入りし、ゆったりと準備を進めた。ちなみに人体には「胃結腸反射」という反応があり、軽い食事を取ることは気持ちのよい脱糞のために有益である。いきなり脱糞の話で輝かしい入賞レースを語り始めるのは気が引けるが、気持ちの良い脱糞はレースの成功の3割くらいを決めると割と本気で思っているし、「胃結腸反射」という概念は知っておくと良い言葉であることは間違いないのでぜひ参考にして頂きたい。出すために、食う。それが人間である。そして走るために出す、これがトレイルランナーなのだ。
さて、話を脱糞からレースに戻す。
スタート時間は予定していた午前5時半から午前6時に変更。時間が余ったので一度ホテルに戻り、卓球映画「ピンポン」の風間の如くトイレ(大)に籠もり、集中した(もちろん脱糞もした)。
※ちなみに僕はこの風間とか、弱虫ペダルの御堂筋くんみたいな、勝利に狂ったキャラクターが結構好き。
スタートゲートでは、前から5,60番目くらいに位置取り、スタート合図を待った。自分の性格を考えると、前方に位置取り過ぎると絶対に前を追ってしまうため、あえてのポジショニング。レースは長いので、戦闘モードになることなく、「いい天気だなぁ」と上を向いてリラックスした状態でスタートした。
ベスト10に入った選手のうち、僕のようなレース展開をしたのは僕だけだった。というかGoPro取りながら走っていたのは僕みたいなキチガイだけだろう@上位選手で。明らかに遅い入りだったが、計画どおり(とは言え、改善点でもある)。
スタートし、斑尾スキー場エリアの登りを終えると、一気に高速レースになることはわかっていた。信越は3回目、斑尾高原フォレストトレイルは過去5回出ているため、この区間は勝手知ったるエリア。とにかく気持ちよく走ることを心がけた。
この区間は多くの人に話しかけていただいた。インスタ(あるいはTwitter)見てますよ!とか、○○が共通の知人なんですよ!などなど、トレイルならではのコミュニケーションを楽しむ余裕を持ちながら、文字通り「走れるトレイル」を堪能した。
前半の山場である斑尾山の登りもプッシュしすぎることもなく、とは言え順位を下げることもなく(むしろ多少上げて)、過去最高にラクな気持ちで山頂に到着。本当に天気がよく、景色を楽しみながらレストランバンフまでを駆け抜けた。
一つ問題があるとすると、シューズ選択である。多少の迷いは合ったものの、直前までNIKEテラカイガー5で練習し、問題がないことは確認していた。
しかし、である。
斑尾山下山途中から靴ズレを感じ始め、このまま走り続ければ、足裏に異常をきたすことは容易に想像ができた。また多少路面が湿っているところがあり、実際滑ったりもしていたので(テラカイガーは滑りに弱すぎる)、シューズ変更を即座に検討。
またしても「NIKEめ、、、また俺の前に立ちはだかるか」(僕とNIKEの愛と恨みの物語は過去のブログを見ていただきたい)とリアルに思い、サポートクルーの待つレストランバンフでシューズ変更(アルトラローンピーク4へ)しようと心に決め、バンフまでの道のりを急いだ。
とはいえロングレース、トラブルはつきものである。サポートは彼女に頼んでいたのだが、エイドに到着してもそのかわいらしい姿が見えないではないか。「お、あいつやらかしたか?スタートから歩いて10分くらいのとこだぞここ。このおちゃめさんめ!」と思いながらザックを下ろし、携帯を確認すると、予想通りやらかしたらしい。本当におちゃめさんである。
レース序盤なので焦ることもなかったが、さすがに到着を待つ余裕もなかったため、ここでのシューズ変更+補給は諦め、黒姫までのプラン変更。シューズ変更出来ない以上、あと30kmはこの(愛と憎悪渦巻く)NIKEテラカイガーで行かなければいけなくなったため、ワセリンを足裏に塗り直した。また補給(ジェル)も52km地点まではギリギリだったので、エイドでの補給をしっかりしてリスタートした。
■レストランバンフ(22km)→黒姫(52km)
この区間、最大の勝負どころは「関川」という川沿いの灼熱林道である。日陰のない砂利道とコンクリートを6km〜7kmほど走り続けなければならないため、暑さと林道に弱い僕にとっては最大の鬼門。過去にもここで潰れた経験、苦い思い出があり、前半の山場と思い定めていた。
その関川に到着するまでは、スピードをベースアップし、順位を上げにかかった。このあたりはTHE斑尾エリアであり、めちゃくちゃ気持ちよく走れる。見慣れた景色でもあり、必然的に自分のテンションも上がってきた。
特段トラブルもなく39km地点(熊坂)に到着。ここから関川エリアが始まるため、水をかぶり、塩分を補給して素早くリスタート。ここから信越五岳2019における「タイマンその1」が始まる。相手は通称(僕が勝手に脳内あだ名をつけただけ)「エルドレッソサロモン」君である(エルドレッソのウエアにサロモンのシューズを履いていただけ)。
エルドレッソサロモン君はレース序盤からマークしていた選手なのだが、とにかく足取りが軽い。関川エリアに入ってすぐに僕に追いついて来たので、彼をペーサーに僕もペースを少し上げる。自分の不得意なエリアは誰かにペーサーになってもらうのは良い戦略で、「ついていく」ということ以外は何も考えずに淡々とやるのが吉。
途中、「この子は彼女いるのかな?」「仕事はメーカーっぽいな」「たぶんおばあちゃん子だろうな」とか邪念(?)が浮かびつつも、とにかく並走。これが完全にハマり、苦手区間で順位を上げることに成功する。関川も後半に入ると、僕のプレッシャーが相当嫌だったのか(ごめんなさい)、エルドレッソサロモン君は足を止め始めたので、僕はそのまま先行し、名物施設エイドである「宴会隊」ゾーンへ。ここが関川の終着駅である。
ここでスリーピークスで会った際に、「信越でバチバチやりましょう!」と勝手に心に誓った駒村俊介選手に追いつき、会話を交わす。怪我で調整が万全ではなかったようで、また改めてやりましょう!とこれまた勝手に心に近い先行する(ちなみに駒村選手の実力は他のレースでのリザルトを見る限り渡邊の数段上の選手です)。
それと同時にトレイルランニング業界のミスターブラックダイヤモンド(日本語名「黒光り胸筋野郎」)ことちゃんぷ。さん(ごめんなさい許してください、小さい笑いがほしかっただけなんです)が応援に駆けつけており、現在の順位を教えてもらう。
個人的な感覚では30位を少し切るくらいかな?と思っていたが、どうやらもう少し順位を上げていたようで、こういう時は調子がよい証拠。黒姫までの階段や登り区間を攻め続け、サポートの待つ黒姫までの道のりを急いだ。
順位は想定通り、黒姫までで20位前後に到達していたが、結果を振り返ると、まだこの時点では上位陣よりは遅いペースで、トップ陣とは数十分レベルで差がついている点は今後の反省点である。
■黒姫(52km)→笹ヶ峰(65km)
黒姫エイドではサポートと無事合流することが出来、汗びっしょりな上着を着替え(ロングレースでの着替えは有効)、念願のシューズ変更(NIKEテラカイガー5からアルトラローンピーク4へ)。アルトラ足、という言葉があるが、アルトラを履いちゃうと(そして慣れちゃうと)アルトラ以外履けなくなってしまうことを指す。僕もご多分に漏れずその気配があり、ローンピークに履き替えた瞬間、革命的な快適さを感じた。テラカイガーよ、さらば。
献身的なサポートもあり、とにかくフレッシュな気分で黒姫エイドを後にする。ここから最後まで大熱戦を繰り広げる、今回最大のライバルだった昨年入賞者の木村元選手と相対することになる。左が僕で、右が木村選手である。超強そうではないか。実際めちゃくちゃ強かったんだけど。
木村選手はトレイルサーチを見る限り、バンフ以降一回順位を大幅に下げているものの、僕同様関川エリアで順位を上げ、黒姫に到達している。50kmを過ぎ、後半戦に突入する中、順位を上げてくる選手は同じ性質を持つランナーとして超絶厄介である。
実際、黒姫エイドを抜けると、数キロに渡る(嫌な)林道の登りがある。昨年の信越100マイルではここでぶっ潰れたのだが、今年はほぼ走って登ることに成功した。後半順位を上げていくタイプの僕はほとんどこの区間くらいから抜かれることはないのだけれど、この木村選手、登りが強い。調子の良い状態の僕が、この林道で一度追い抜かれるのである。
実はこれが地味にショックで、苦手な登りの林道でペースを上げ、抜き返しにかかる。このあたりからこの「1003」というゼッケンを意識し始めた。
下りに差し掛かると僕の方に分がある。しかし、吊橋をクリアした後の登りでまた追いつかれ、抜き去られる。そしてまた次の下りで追い抜く。これを幾度となく繰り返した。(トレイルあるあるだが、それでも繰り返しすぎ)
続くエイドステーションである笹ヶ峰では、チームメイトである小松さんに補給を手伝ってもらいつつ、トレイルバタ男ことRun boys!Run girls!の水越さんらに元気をもらい、足早にスタート。知り合いがいると本当に元気が出るよね。
UTMFで学んだのはエイドワークの素早さが勝敗を決めるということ。UTMFでも有力選手を抜くことに成功したのだが、抜いたシーンは実はトレイル上ではなく、大きなエイド(大きなエイドはみんな長時間休みがち説)でのIN→OUTであった。実際今回も見ていただくと分かる通り、2分半ほどで補給を終えており、上位陣では一番はやくこのエイドをクリア。順位も一気に6つ上げることに成功している。
笹ヶ峰は110kmの部ペーサーがつくポイントでもあり、時間を消費しやすいと踏んでいたので、ペーサーをつけない僕にとっては順位を上げる重要箇所でもあった。
■笹ヶ峰(65km)→大橋登山口(80km)→戸隠(92km)
笹ヶ峰を抜けると、また走り続けなければならないゾーンが始まる。登り始める西登山口までの約10kmはとにかくプッシュ。後半戦になり、徐々に落ちてき始める上位陣を確実に仕留めていく。作戦通り。
ネガティブスプリット型がいいのはこれで、とにかく「追い抜く快感」をパワーに変えられることである。この時僕はレース中最大元気で走り続けられており、西登山口のウォーターステーションでこれまた知り合いの藤生さんに「今11位だよ」と聞いた時は、「おお、もう余裕じゃないですか!明日の表彰式お願いしますよ!」と生意気をのたまうほどの元気があった。
西登山口の登りは地味にアップが長いのだが、目標としていた「10位以内」がすぐそこまで、手が届くところまで来ていることに気を良くし、「大介、行けるぞ、このままプッシュして5位まで行くぞ」と自分を鼓舞しながら登り続けた。
正直いいペースだったと思う。実際疲労感なく(と言えば嘘になるが)ピークに到達し、下りも攻めた。途中、右脇腹に激しい差し込みがあり、ペースダウンせざるを得なかったが、それでも前との差は詰まり、後続との差はつけただろう、と思って大橋登山口エイドに到着した。
ところが、である。
エイドに到着すると、すぐさま110kmのゼッケンをつけた選手が追いついてくるではないか。そう、ゼッケン1003番。木村選手である。しかも、ペーサーを連れている(ペーサーに引っ張ってもらうのではなく、ペーサーを後ろに引き連れるタイプでそこからも玄人感が漂う)。めちゃくちゃ元気そうではないか。さらにもう一名110kmの選手が追いついて来て、「まじかよ学園!」と一気にメンタルを追い込まれた。
焦りをかき消すようにエイドを後にするが、どちらもめちゃくちゃ足が残っている。こちとら右脇腹の差し込みもあるし、足も重くなってきてしまっていて、エイドを出てまもなくこの2名の選手に先行されてしまう。
このレースで始めての、本格的な順位下落である。後半追い上げタイプには痛い。そしてここは、昨年潰れて歩き通した因縁の戸隠エリア。正直、今回の入賞は厳しいか・・・?ここまでか?と思い始めた。この2名とのペースには結構な差があり(僕が遅かった)、正直この2名の選手は「勝ったな」と思ったのではないか。
戸隠エリアの雰囲気は独特で、落ちた気分にはかなりしんどい。日も若干暮れ始め、希望をなかなか見いだせなくなっていたが、とにかく諦めないこと。そして足を動かし続けること。止まれば負けは確定だが、動き続ければチャンスは到来するかもしれない。
気持ちだけではなかなか難しいので、アクションを変えようと思い、瑪瑙山エリアで注入しようとっておいたベスパとカフェインタブを投下し、自己再生を図る。
プラシーボ効果を最大化するには、アクションを伴わせることが重要で、ベスパとカフェインを投入した後、意図的にペースを上げた。これがうまくハマり、戸隠エイドまでの区間で復活を遂げ、戸隠エイドに到着するころには先行する2名に追いつくことに成功。アクションと効果効能を意図的に結びつけるという作業は、けっこう重要なランニングハックだと思う。
額面的に順位だけ見ると、大橋林道→戸隠の12kmは順位変動がないように見えるが、実は大橋林道直後に12位まで順位を落とし、戸隠手前で10位まで復帰するというドラマがあったのである。
■戸隠(92km)→ゴール(113km)
さて、最終決戦、である。
アホ面かましているが、サポートクルーと合流していたちゃんぷ。さんに、「あれがラスボス瑪瑙山だよ」と言われ、「あんなもん余裕スネ」と空元気を出しつつ、覚悟を決める時の表情がこちら。
たぶんこのレースはゴールするまでの残り2,3時間、絶対にラクにはならない。我慢比べ。出し切ったほうが勝つ。三連休に社会人の我、何をしてるんだい。
ここまで90km以上を走ってきた体でなかなかこのメンタリティを、覚悟を決めるのは大変で、ほんの数分、椅子に座って休む。横目でライバルである木村選手がエイドを後にする姿を追いながら(こんなん激走モンブランとかでしか見たことない)、11位で最後の区間をスタートする。
瑪瑙山の登りに取り付くと、日が落ち始め、ヘッドライトの装着を余儀なくされた。地味なタイムロス。そして瑪瑙の登りはやはりきつい。最初は視界に捉えていた木村選手の姿は見えなくなり、100マイルの選手とのペースもさほど変わらなくなってしまっていた。
完全にペースが落ちている。
それはわかっているのだが、ペースを上げられない。なんで瑪瑙山はいつ来ても路面がゆるゆるに湿ってんだよ!と文句を言いながら歩を進めるも、差は広がるばかり。
ギリギリのところで力を振り絞り、ようやく山頂に到着した時、誘導スタッフに言われたのは「前の選手と10分差!」という死の宣告だった。
ラスト10km弱で10分の差をひっくり返すのは至難の業である。しかも相手は潰れておらず、登りで僕に差をつけている選手だ。何度も抜きつ抜かれつを繰り返してきたが、さすがにもう無理、万事休す。
今までの僕だったら(そこまでメンタル強くないし)ここで諦めて力を抜いていたと思う。しかし現在11位、あとひとつで入賞を逃したとあっては、レース後、悔しすぎるだろう(入賞は10位まで)。来年の信越五岳でリベンジするまで後悔は続くかもしれない。そう、僕は恋する乙女のようにねちっこいのだ。
とにかく勝負しよう。諦めずに出し切ろう。それで追いつかなかったら致し方ない。そう思えるまでやりきろう。当たり前のようなことだけど、これがなかなか難しい。難しいけど、やればできる子だろう?そう言い聞かせた。
次の瞬間、山頂直下の下りからロングスパートを仕掛けた。意図的にギアを最高速まで上げ、ショートレース並のスピードで下った。実際かなりのスピードだったと思う。
「すいません、通ります!」「すいません!右抜きます!」ウド鈴木バリに「すいません」を繰り返し、100マイルの選手たちを交わしながら、前を行く木村選手を猛追する。途中、チームメイトで100マイルに参加していた永田春樹(同い年、同じ鎌倉在住)とも合流し、即席ペーサーのような形をとって二人で前を追う。
これが本当に奇跡的で、おそらく一人だったら途中で失速していたと思うのだが、この即席チームによりペースを落とすことなく最後の登りも攻め続けることに成功。アドレナリンは全開。全俺の中のホルモン達よ、我に力を!と言わんばかりの身体状態だった。
それでも山中では先行する選手に追いつくことは出来なかった。10分の差はとてもデカかったのだ。でも、僕の中のメラメラと燃えた猛追モードは冷めることはなく、最後の林道でまくってやろうとスパートをし続けた。
すると、である。
最後のエイドステーションが視界に入ると同時に、エイドに立ち寄っている木村選手の姿を捉えた。次の瞬間、自分の所持している水分残量を確認。残り7〜8kmは持つことを確認し、最終エイドをスルーして本当に最後の最後の勝負を挑む。日々経営をする中で鍛えた判断力が生きた瞬間である。ビバベンチャー。
トレイルサーチを見てみると、木村さんが13:18:23に大橋林道エイドをアウト、僕が13:18:31にアウトしたので(その差は8秒)、本当によーいどん!という感じだった(僕だけかもしれないけど)。
足が攣りそうである。エネルギーも切れそうだ。それでもここで一気に勝負を決めたい。ゴールまで7〜8km続く林道の序盤の2kmは4'15/kmを切るペースでスピードを維持した。とにかく僕のヘッドライトが見えなくなるくらい差をつけること。心をへし折らないと、この屈強なライバルに勝ち切ることは出来ない。そのくらい強いことは黒姫からここまでの50kmでとても良く理解していた。
自分が今持っているジェル、塩分はすべて投下した。出し惜しみは一切なし。すべてをこの瞬間に投資し、とにかく「後悔しない」走りを心がけた。途中、ガレたエリアもあり、足裏に激痛が走ったり、地味な登りに苦しめられたりしながら、それでもスピードを緩めず、リアルに「るろうに剣心」の鵜堂刃衛ばりに「我最強なり」と念じ続け、走り続けた。
満月だった。
ものすごい月の光に、一瞬「あれ、ゴールか?」と騙されつつ、目で光を追い、耳でゴール会場の音を追い続けた。空目、空耳は何度もした。
本当にしんどい区間で、痛いし苦しいし、林道嫌いだし、でも勝ちたいし。小学生の運動会のような純粋なメンタリティでとにかく攻め続けた。
この後ほぼ記憶がないけど、気づいたら会場の光が見えていた。昨年走ったこの林道。実は結構レイアウトを覚えていて、あそこを曲がったらもうゴールというのがわかった。その瞬間勝利を確信し、それと同時に涙が溢れてきてしまった。
人間追い込まれればやればできるもので、最後の飯縄山登山口→フィニッシュの間の区間タイムは1位の西村選手に次ぐ第二位(38分26秒)。大瀬選手や浦野選手よりも1分近く速いラップで仕上げることが出来、戸隠エイドをでた時点では15分ほど差があった9位の高野選手とも2分差以内まで詰め寄ることに成功していた。
とはいえ、出し切るにも程があるレース展開で、お腹いっぱい。めちゃくちゃ嬉しかったけど、めちゃくちゃ辛かった笑 こんなレースはもう二度とやりたくない苦笑 その一方で、達成感はひとしお。この屈強なライバルがいなければ、この満足感も得られなかった。本当に大感謝でございます。(それに永田と合流できなければ負けていたと思うので、今回は運が良かった)
トレイルランニングは楽しいスポーツだし、勝ち負けではないのは重々わかっている。ただレースの醍醐味ってやっぱこういうところだよね、とも思う(それだけではないけれど)。
ゴール直後の一枚。消耗と達成感、そして安堵が入り混じった、なんとも言えない表情だけど、今回の一連の写真で一番好きな写真。こういう経験がやりたくて、僕はレースに出るんだなぁ。
トレイルランニングは大好き。そしてトレイルランニングレースも大好きで、実は好きな理由はちょっと違う。そんなことを改めて考えさせられもしたレースでございました。。。
終わり。
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