【超長文レポート】第38回つくばマラソン
今年のはなももマラソン以来、久しぶりのフルマラソンに出場してきた。関東屈指の高速コースと言われる「つくばマラソン」だ。
昨年初めて出て、「こりゃたしかにタイム出るわ」と思い、今年もエントリー。結果的には目標としていた「サブエガ(2時間50分ギリ)」には届かなかったものの、自己新記録は達成。
グロスタイム2時間54分05秒
ネットタイム2時間52分47秒
結果には満足している。
さて今回もレースを振り返ってみたいのだが、今回のキーワードは「短足とおしるこ」だ。意味が全くわからないと思うが、もし仮に今何もすることがなく、このブログくらいしか暇つぶしすることがないのであれば、是非とも読み進めてほしい。
さて、スタートである。
スタート前からバスの中にクレジットカードてんこ盛りの携帯電話を忘れてしまい、走り始める前からメンタルを追い込まれたのだが、トレイルで培った精神力でなんとかスタート地点までたどり着き、走り始めた。(とある方のご尽力により、無事レース後コチラの携帯は救出された)
僕はBブロックからスタートしたのだが(AとB,CとD,,,と走力に合わせてブロックスタートする)、これがなかなか混雑してい、スタートゲートをくぐり抜けるまで数十秒かかってしまったのだ。くぐった後も渋滞しており、満足に走れない状況が続いた。
トレイルランニングと違い、フルマラソンは1分1秒の遅れを取り戻すことは難しく、こうした混雑時は非常にピリピリする。さながら満員電車のようだ。
ちなみにこのウェーブスタート、自己申告のタイムから振り分けられていると思うのだけど、みんな実力以上に申告しすぎ問題。
どう考えてもサブスリー難しそう(ぶっちゃけギリギリサブフォーくらい?)という人が同じブロックに多々存在していた。もちろんチャレンジ精神は歓迎すべきことだが、勇猛と無謀は異なる。
日本人は控えめな性格じゃなかったのか。いつからそんなビッグマウスになったんだ。是非ともその強気な姿勢を日々の仕事に生かして欲しい。
さて、そんなことはともかくレースはスタートした。
5キロくらいまでは人の合間を縫うようにして忍者のように走りつつ(5キロ地点にある唯一と言っていいほどの大きな下りらへん)、以降はサブスリー以上の走力のランナーに追いつき、ようやくスピードに乗る。心置きなく腕を触れるのはなんと気持ちが良いことか。
しかしながら、一昨日風邪をひき、病み上がり状態だからなのか、体が重い。いつもは割とイージーな4'00くらいのペースが普通にきつい。こりゃ全然ダメなやーつだ。
マラソンを走っていると、人間というのはつくづく自己正当化欲求の強い動物なんだと思い知らされる。少しでも不調を感じると、その理由を脳みそが勝手に埋めようとする。一昨日の風邪とスタート前の携帯紛失メンタルダメージ。不調の言い訳としては十分だ。
なんとか調子を取り戻そうと、フォア気味のミッド着地を意識するものの、なんか噛み合わない。ちぐはぐ。僕の来ていたTシャツをみて「GO AHEAD!」と応援してくれる沿道の皆さんに笑顔を振りまきつつ、内心はダメダメパイナポー。
とにかくもう全然ダメすぎて、8km地点くらいで早くもマグオン(ジェル)を一つ投下する。そんなレース序盤に糖質はいらないんだが、とにかく脳みそを錯覚させたかった。
そこからなんとかペースは3’53-3’56/kmくらいでキープする。序盤から「なんとか」が多すぎる。しかしながら周囲より若干速いペースなので、ぐんぐん順位を上げる。順位を上げていくと、どんどん周囲のランナーのパンツは短くなり、袖はなくなっていく。
ふくらはぎの血管は浮き出ていて、肌も浅黒い。頬もこけており、ベテラン臭野漂うランナーしかいなくなってくる。
シューズはヴェイパーフライとズームフライが圧倒的に多くなってきて、ついでadidasのTakumi Sen、アシックスやミズノのレーサーモデルとシューズ選択も明確。
これが2:50:00ギリが見える景色か。
サブスリーよりも明確にエリートランナー感のある一団で走っていて、一瞬の気持ちよさと「ああ、オレもここまで成長したのか」という一瞬の感慨はあったものの、正直もうしんどい。もうメンタルは負け犬状態。これで42km持つわけないわー、ないわー、と思い続けながら走っていた。
すると、18km地点くらい、逆風が行く手を遮る区間で「あの人」に追いつく。先日の日光でもご一緒させていただいた牧野さんだ。相変わらず身長高いし、手足が長いのですぐにわかった。
ここで僕の中のリトル大介(性格悪し)が姿を現した。今は向かい風が厳しい。ここは体の大きい牧野さんを風除けにして、少しペースを落ち着けよう、と。バレないように張り付けば大丈夫だ。これはズルじゃない、戦術だ。勝てば官軍、負ければ賊軍だ(意味不。
牧野さんはレース前4’00/kmくらいで行くとおっしゃっていたので、すこしオーバーペース気味だった僕は、牧野さんのすぐ後ろに張り付き、自分のペースをコントロールすることに決めた。
風はぶっちゃけ牧野さんの長身をもってしても避けられなかったが、ペースを一旦落ち着けられたのは非常に良かった。淡々と後ろをストーカーのようにひた走る。
しかしながら、ここで予想外のメンタルダメージを受けることになる。
牧野さんは足が長いため、ストライドが大きい。一歩一歩がとても長いのだ。
一方僕は筋金入りの短足だ。小学生の頃に「相撲」と「サッカー」という短足業界のエリートが経験する二大スポーツを連続して経験し、小学校三年の身体測定ではクラスで一番「座高」が高かった(この頃、まだ「座高(ざこう)」が何を意味するか理解しておらず、身体測定でクラスで一番「座高」が高いことを自慢げに母親に話した時の、あの母の哀れみに満ちた表情は未だに忘れられない)。
その時のクラスメイトの女子(永石さん)からは、足が短い大介、ということで、「ちゃぶだい(ちゃぶ台は足が短いテーブル)」というフリースタイルダンジョンもびっくりなdis(小学生ながらフレージングのセンス、言葉の開発力に脱帽する)を受けていたりもしたこの僕だ。
生命体としては牧野さんと真逆といって良い。
そんなミニチュアダックスフントの僕が、ボルゾイのような牧野さんの後ろに着くとどうなるか。
歩幅が全然合わないのだ。悲しいぐらいに合わない。どんなに大股で走っても、牧野さんが一歩終える頃に僕は二歩目が着地しそうなのだ。もう、牧野さんの足を見ているだけでリズムが狂ってくる。
4キロくらい(見つからないように)並走したのだが、思いのほかこの(精神的)ダメージは大きく、「これ以上は耐えられない!(人間としての尊厳的に)」と思い、牧野さんの前に出ることにした。
抜き際に一言二言。牧野さんは「マイペースで行く」とのこと。早い人の「マイペースはハイペース」と知っている僕は、少しペースを上げる。
牧野さんの後ろで少し休めたからだろうか。はたまた種としての劣等感が与えてくれた力だろうか。あるいは窮鼠猫を噛む、とはこのことだろうか(違)。僕の中の生存本能が呼び覚まされ、この区間、最高速度を記録することに成功する笑
さて、そんなメンタルダメージを克服した後は、大迫よろしく「マラソンは退屈」な時間が続く。ほんとに退屈、暇。まーひー。日差しも強くなってきたし、木陰もなく、暑い。ただただ辛い。なぜ16,000人もの人がマラソンを走るのだろうか。
トレイルランナーはよく「自分との戦い」とかいうが、綺麗な景色や周囲の選手と話しながら走ったりするので、トレイルランニングは意外と他者・自分以外のものが介在する余地がある。時間的にも精神的にも余裕がある。
今年のUTMFの優勝者であるボウマンなんかはバッチバチにライバルであるカペルを意識しまくり、各エイドごとに「カペルとの差は何分だ?」と確認してたくらいだ。実はトレイルは内面との勝負もあるが、外界との相互作用が多分に含まれているのである。
一方でマラソンは「孤独」だ。スピードも心拍も速いから、知り合いとすれ違っても一言程度しか話さない(話せない)。応援に対しても反応することは少なく(僕は手を振っちゃったりするんだけど)、とにかくひたすら苦しい孤独な戦いが続く。
個人的な感覚としては、夜間の一人トレイルよりも孤独だ。フルマラソン完走できれば大抵のトレイルランニングの大会はクリアできると思う(100マイルとかは無理だと思うけど)。周囲に人がたくさんいるのに孤独とは、まさに現代の病みたいだ。
そういう意味で、マラソンは究極のメンタルトレーニングだと思うし、やっぱりとてもつらい競技だ。みんな絶対トレイルやったほうがいい。トレイルのもつ途方ものない楽しさに気づけるから。
そんなことを考えながら30km地点を通過。MMAつながり@eiri_nkdさんが応援してくれていて、精一杯強がって声援に答える。Emosionの語源はMotionというではないか。元気なふりをしてみればきっと元気が出てくるはず。
しかし、途端に足がストップする。
きた、やつだ。30kmの壁だ。おひさしブリーフ。
理屈はわかってるんだけど、本当にこの壁は分厚い。マラソンの場合、トレイルのような復活はほとんどなく、更に辛い時間帯が続く。足が重いので無理やり動かそうとすると心拍が上がり、苦しくなる。気温も上がってくる。地獄か、と思いながら、とにかく歩をすすめる。
呼吸が乱れると同時に喉が乾く。4kmごとのエイドが待ち遠しい。給水した瞬間からまた飲みたくなる。
水ー、水くれー。
30km以降はとにかく喉が渇いていた。
日差しが憎い。
ゼーハーしながら、次のエイドが現れるのを探し始める。横道で旗を振っている応援の人をエイドと勘違いするほど水を求める渡邊大介。
すると、35km地点でひときわ賑やかなエイドに差し掛かった。エイドのスタッフがカップを手に取り、手渡ししてくれようとしている。その姿が数百メートル前から見て取れた。なんてステキなエイドなんだ。
僕はサービス精神が旺盛なランナーだ。
エイドスタッフも寒い中で手伝ってくれてるんだ。ランナーが素っ気なかったら悲しいもの。エイドボラやったからわかるけど、素通りは悲しい。
なので、イェーイ!とか言いつつハイテンションで紙コップを受け取る。
そして、飲む。
次の瞬間、体に衝撃が走る。
コップの中身がなんと、、、「おしるこ」だったのだ。
パニックに陥った僕はすぐさま同じエイドでコップを受け取り、おしるこを洗い流そうとするも、二杯目もなぜかおしるこ!!!!
ギャグか!!!
と、一人突っ込みした衝撃で思わず吐き出してしまい、口の中もウェアもあんこだらけ。
イェーイ!とかハイテンションだった数秒前の自分を一瞬で憐れむ。
確かに、確かに、、、事前にコース動画を見たとき「まもなくおしるこです。おしるこです。」という不可解なアナウンスの場所があったことは認識していた。認識はしていたが、わたくし何を隠そう、あまりあんこは得意ではないため、どうせ飲まないだろうと思い、記憶の遥か彼方に追いやっていた。(不幸中の幸いだったのは、おしるこがつぶあんではなくこしあんだったことだ。)
ものすごいおしるこ推しなのだ。そんなにランニングにおしるこは効くのだろうか。
「マラソンを科学する」が標語のつくばマラソン、どうか教えてくれ。
補給したかった水分を取ることができず、あろうことかお汁「粉」を摂取してしまったダメージはことさらに大きかった。
想像してほしい。息をゼーハーさせながら、喉が渇きまくっているところにお汁「粉」だ。全盛期のP●学園野球部ですらこんなひどい仕打ちはなかったはずである。
この「おしるこの乱」により、ギリギリ維持してきたペースもガクンと落ち、メンタルも完全にやられてしまった。
なぜ神はこんなに頑張っている僕にあんこなんかを飲ませたのか(あんこ業界の皆様、申し訳ありません)。試練か?神は乗り越えられる試練しか与えないというが、僕の体力ではこんな試練は乗り越えられそうにない。
残り10kmは切っているが、もうプッシュ出来ない。つらい、やばい、死ぬ。マラソン嫌い。最後の坂!なんでそこで登らせんねん!あらゆるネガティブな念とともに、とにかくペースが落ちるだけ落ちて、そのままゴール。
前回の「はなももマラソン」のような「会心の出来」感はまったくなかったが、走力のベースが上がっていたため、なんとか自己新記録更新。なんとも言えない感情に包まれたレースでございました。
一方で、いろいろミスをしたり、準備不足で挑み、最後まで無理せず走り通した割には良いタイムを出せたということは、次の「勝田全国マラソン」で2時間45分を切るための自信になりました。必ずや達成し、マラソンを卒業したい(笑
最後になりますが、大会運営の皆様、ボランティアの皆様、沿道の応援の皆様、素晴らしい大会をありがとうございましたm(_ _)m
【装備】
今回も装備は全く問題なかった。日差しが斜めから入り、goodrと目の間に光が差し込んで乱反射して逆に眩しい、みたいなこともあり、サングラスは改善の余地あるかも。グローブ着用はこの時期にしては暑かったけど、グローブがあると腕振りを意識できるおでプラマイ0かな。
・シューズ:NIKE ZOOMFLY ALL BLACK(日本未発売モデル)
・パンツ:MMA ✕ rvddw Denim Run Pants REG
・Tシャツ:MMA Go Ahead Tee
・ソックス:インナーファクト(今回は思いっきりズレた)
・CAP:ELDORESO BONEMAN CAP
・グローブ:NORTH FACE FINGERLESS GROVE(迷彩)
【補給】
マラソンはトレイルのように収納をたくさん確保出来ないし、短時間勝負のため、「麻薬性」「即効性」の高いものをチョイス。人生で初めてマラソン中にトイレに行かなかったのは、経口補水液✕モルテンの掛け合わせのおかげかも。
フルマラソンのように「レース事前の補給」が大切な競技に、モルテンはもはや欠かせない存在になりつつある。
●朝食
・切り餅✕4つ
・エネ餅✕1つ
・経口補水液+モルテン320✕2本(前日夜から当日朝の水分補給)
●レース中
・マグオンアップル✕2
・マグオンレモン✕1
・ベスパハイパー✕1
(・お汁粉✕2)
0コメント