【完走報告】第3回トレニックワールド100km in 彩の国、攻略のポイント。

完走、してきました。


前回ブログ記事にも書きましたが、苦手意識のある100km級トレイルランニングレース第3回トレニックワールド100km in 彩の国19時間19分06秒、総合順位9位/年代別5位という今までにない好記録でクリアしました!

【総合9位、20-30代年代別5位】先程「トレニックワールド in 彩の国100K」を完走しました。結果は総合9位、年代別5位と満足の行く結果となりました(欲を言えばもう少し、、、)。 100キロ級は相性が悪く、いままで一度も結果を出せていなかったので、一桁順位は素直に嬉しいです。 前半はとにかく抑える。行きたくなっても堪える作戦。経験上、途中で絶対我慢できなくなるので、観光がてら色んな写真や動画を撮って気を紛らわす作戦。うまく行きました。 気象条件が素晴らしく、前半から20位台と、図らずも良い順位につけてしまいましたが、ほぼ計画通りにレースを作ることができました。いや、計画以上かな。 後半は、一気に勝負をかけました。オルガニックとマグマのおかげで胃腸トラブルはなく、ジェルを取り続けることができたのは良かった。おススメです。 一方で、途中飲んだ川の水のせいかお腹を壊し、計4回もトイレ大をする羽目になりめしたが、その分軽量化に成功したようで、後半は完全に野生モードに入ることができました。野生は楽しい。 ぼくは前半ゆっくり入り後半スイッチを入れるネガティブスプリットがハマり技。うまく行くレースは後半ガンガン人を抜き去って気分良くゴールする。 しかし、100Kの上位陣というのは、能力もメンタルも強く、一筋縄にはいかない。一度抜いても平然と付いてくるので、なかなか際どい勝負をし続けました。まさに抜きつ抜かれつの攻防、って感じです。 その中で嬉しかったのは、ある40代ランナーに「あれ?着替えました?ウェアオシャレでいいですね」と言われたこと。MMA万歳!と思って、夜中に元気が出ました。 レース自体を総括すると、越生周辺エリアの観光スポットから景色からを堪能できる素晴らしいコースです。新緑も夜景も美しい。しかしながら106Kで獲得標高6780mという、日本屈指の高低差を誇っており、また走って下れないような急な下りや這いつくばる登りがたくさんあります。また、コースに案内係はおらず、少量の目印のみと言う、コースファインドにかなり脳みそを割かれるコース設計です。したがって、難易度は非常に高いと言えますので、チャレンジされる方はくれぐれもご準備を。 #doublesurvivor #トレニックワールド彩の国 #マウンテンマーシャルアーツ #MMA #mountainmartialarts #mmastagram #トレイルラン #トレラン #オルガニックジェル

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今回は気象条件が過去最高によく、100kmの完走率も上がっておりましたが、それでも「100km 出走394 完走269 完走率75.1%」という難関レースです。


しかしながら、自身でいうのも何ですが「ほぼ完璧」と言ってよいほどの完璧なレース展開をすることが出来ました。前半は10位後半〜20位中盤で無理をせず、後半各エイドごとに順位を挙げていくという、完璧なネガティブスプリットをかますことが出来ました。


ポイントは明確で、元々の作戦がかなりうまく行ったということ。完全にハマった。


その作戦を端的にまとめれば、以下のようになります。

◯渡邊の作戦


1. とにかく前半を抑える。
2. そのために、意図的に前半は「観光」する。
3. 補給は「回復」をコンセプトにしつつ、糖を切らさない。
4. 夜を楽しみにするために「お着替え」する
5. 「心身相関」を常に意識する。


僕にとって「レースとは?」を一言で語ることはできないんだけど、自分を題材にした「実験」的な要素は少なからずあって、どういう課題に対してどういう仮説をしき、レースでどう実証するか。毎回色んな発見があって楽しいのだけど、今回もたくさん発見できました。詳しく行きましょう。


1. とにかく前半を抑える。

まず「とにかく前半を抑える。」は言うは易し、なやつです。念仏のように唱えても、なかなかうまく行きません。レースが始まると高揚感から、「あれ、今日調子良いかもしれない」と錯覚し、スピードを出してしまう。競争相手を見つけ、競り合ってしまう。すると、後半潰れる。何度同じ過ちをしたら気が済むのか・・・僕も本当にそれでした。奥三河で潰れた理由の半分はそれだったなあ・・・しみじみ。


2. そのために、意図的に前半は「観光」する。

そのために、「意図的に前半は「観光」する。」ことにしました。具体的には、名所や山頂に到達したら「写真を撮る」です。これ、ロングレースでは良いと思います。今回はたくさん撮りましたが、当然写真を撮ると、その間に順位は下がります。下がるんですが、それで良い。だんだん順位に執着しなくなり、自然体になります。


抜かれることに慣れる。これが大事。それでも総合9位まで行けたんですから、ロングレースなんてそんなもんだと思いますし、抜かれた分、抜く楽しみも増える。これです。

誰かに抜かれることにに対する耐性、も大事な一方、気分的に「抜く」瞬間をたくさん作ることもロングトレイルでは大切山と100kmと私でも書いたけど、トレイルは苦しさの総量が多い。ロングトレイルにもなると本当に大量。常にレースモードで苦しさに立ち向かい続けると、意思の量がどんどん削られてしまう。すると後半伸びない。気持ちで負けてしまう。


体力だけでなく、気力も温存が大事なんです本当は。ロングレースは過程そのものを楽しむ余裕、抜きどころが大切なんだと思います。


3. 補給は「回復」をコンセプトにしつつ、糖を切らさない。

また補給食に関しては、奥三河パワートレイルでの失敗があったので、エネルギーそのものよりも【1】カラダへのダメージが少ないこと、【2】カラダを回復させてくれる作用のあるもの、この2点を重視して摂取しました。


具体的には最近注目されている「エネルギー転換率」に着目した次世代スポーツドリンクモルテンと、天然素材のため負荷の少ないORGANIXを多様しました。また各エイドごとに回復をはかるため、必ずMAGAMAを摂取しました。非常に効果的でした。


モルテンはすごかったですね。ロジックがそもそも面白く、そのロジックの通りであれば(化学的だけれども)胃への負担は全くありませんでしたし、パワーのみなぎり方は「V++pa」をはるかに超えていました。興味ある方は試して見てください(ウェブだとAmazonで買えますが、すぐに売り切れになっています。お早めに。)。


また、「効果的」というのはメンタル面での効果、も含みます。体に優しいものを摂取している、回復機能を持つものを摂取している、というのは、内臓ダメージの多いロングトレイルにおいては「救い」に近いです。救世主、メシア。


奥三河パワートレイルのときは、回復系のサプリメントを全く持っておらず、化学まみれのジェルばかりで絶望しました。胃が壊滅的な状態になって以降、これから先、ポジティブになる要素がない、、、これほどの心理的プレッシャーはありません。回復の可能性のある携行食は絶対に持っておくと良いと思います。


4. 夜を楽しみにするために「お着替え」する

さらにオーバーナイトのロングトレイルを制覇するコツは、「夜を待ち遠しくすること」。昼のステージは熱いし、まだまだ前半。後半で伸びるやつが勝つ。後半伸ばすために、後半を楽しみにする仕掛けを作る。後半こそが俺の舞台だぞ、おまいら調子乗っているのは今のうちだぞ!と。

そのために僕はコース中間地点のドロップバックに「お着替え」を用意して置きました。そもそもスタート地点からMountain Martial Arts(マウンテンマーシャルアーツ)の上下で揃えていたのですが(MMA Say Hello! Sleeve-lessを着ていて、エイドで「Hello!イイね!」と声かけられたのもうれしかった!)、中間地点では更に勝負服の「全宇宙に25枚」しかない赤いロンTを装備!(上のインスタで着ている赤のロンT)


ウェアは機能も非常に大切だと思いますが、テンションマネジメントにも大きく影響すると思っていて、あれに着替えるためにもがんばるぞ!くらいのお気に入りアイテムが入手できると気持ちが弾みます。トレイルは能力半分、気持ち半分。如何に気持ちを高められるか、は後半になればなるほど大切。実際着替えたあと、40代のランナーに「あれ着替えました?オシャレでいいですねえ!」と声をかけられ、それだけで5分はタイムが縮まったと思います笑


ちなみにかなり夜は冷えたので、機能的にもマッチしましたw 渋井さん、ありがとうございます!


5. 「心身相関」を常に意識する。

そしてメンタリティ。今回のレース前に熟読した本、トレイルランナー、ヤマケンは笑うにひどく感銘を受けまして、その中で紹介されている「心身相関」という言葉を常に意識していました。(鏑木さんの本も好きなのですが、僕はどうやら根っからのアスリートではなく、もう少し楽しいものとしてトレイルランニングを捉えていて、鏑木さんのような追い込みメンタリティよりもヤマケンさんのようなメンタリティのほうが合っていると考えるようになりました。とはいえ、鏑木さんは尊敬しているし、NEVERプロジェクトは心から応援している)。


心と身体はつながっている。だからこそ、順位やタイムを意識すれば、それはこわばりとなり、パフォーマンス不全につながる。パフォーマンス、自分の中に秘められた野生を開放するには、とにかくリラックスすること。リラックスするためには、トレイルの中で経験することをすべて楽しみ、表現すること。


うぉー!と叫んでもいいし、応援してくれる人に精一杯答えるでもいい。去年信越五岳で、美人タレントトレイルランナー姉妹である福島(妹)さんと並走していたんですけど、とにかくうるさい笑 (福島さん、見ていたらすみません笑)

下りになると「ふぅ!」、登りになると「たーのしーねー!」、景色が開けると「わー!」も叫ぶ。 そして、速い。彼女はそういう心身相関で、パフォーマンスレベルを高くしてるんだなぁと改めて認識しましたし、実際速かった。

そういうのが今までも出来ていなかったわけじゃないけど、振り返ってみると「勝負レース」と心に定めたレースほど、結果が出なかった。今回はファンランだよー、とか気を抜いていると、調子が良かったりする。つまりポイントはリラックス。

とにかくリラックス。そのために、心からこわばりを取り除く。取り除くというより、そもそも存在させないように楽しさで充満させる。走れる喜び、景色をそのまま受け入れる。


これ、超絶大事だと、改めて感じました。たぶんヤマケンさんの言う「野生」にはまだまだ足りないけど、後半の辛いコースを乗り切れたのには、僕の中の野生が少しだけかもしれないけど顔を出してくれたからじゃないかな、と思います。今後の自分が非常に楽しみ。



ここまでが今回事前に考えていた作戦、です。加えて、来年チャレンジされる方向けに、コース上のポイントも書いておきますね。


1. 前半と後半の心理的・コース的難易度は3:7から2:8と心得よ。

これはそのまま、なのですが、コース断面図を見ると、なんだか前半のほうが大きな山が多く、標高も高く見えるので、前半が勝負どころに見えてしまうのですが、まったくもって逆。

スタートしてから20K地点の金獄の下りまでは、気持ちのよいトレイルで、「大クス」「猫バスのバス停」など(上のインスタ参照)、観光地もあり、非常に楽しく気持ちよく走れるコースです。22km地点からの笹山の登りは800m弱登る、割りときつそうな登りですが、数値ほどの難易度はなく、まだ序盤なのでただひたすらに上っていればいつの間にかついた、という感じです。むしろその後の飯盛峠までの尾根道が少々アップダウンがあり、体力を削られました。


問題は飯盛峠以降の下りですね。ただひたすらに10kmほど下りますが、ここは本当に足にダメージが残らないように、優しく下ってください。一気に遅れを取り戻そう!なんてすると後で痛い目に会います。おれは登りより下りなんだ!って思っておるあなた、危険です!


補給食のポイントは、とにかく胃に負担をかけないこと。マグマを摂取しつつ、カフェインなどはとらないでおきましょう。



さて後半です。後半とにかくやばいのは、関八洲見晴台に至るまでの強烈な登り、そして子の権現を過ぎた後の飯能アルプスの超絶いやらしいアップダウン、です。ほぼ参加者全員のメンタルが刈り取られたと思います。


特に勝手知ったると思っていた飯能アルプス・・・80km走ってからのこの足場でのアップダウンは本当にメンタルやられると思います。ここが本レースの正念場、勝負所です。ここで順位をあげられるか、落とすかが全体を左右すると思います。


僕は真夜中にここに到着したのですが、山頂付近は突風で、かなり寒く、また危険でした。切り立った岩場があるんですよねぇ、夜行くところじゃない。

ここはとにかく集中です。ほぼこの区間、追い抜くマイルの人以外と会うことはなく、ほぼ一人の時間でしたが、とにかく自分と対話を続けました。

自分との対話、というと頭の中で行うように思いがちですが、寝ずのランでの深夜です。正常に思考なんてできるはずがない。したがって、肉声で自分に語りかける。「まだいけるか?」「いける」「痛みはないか?」「ない」とにかく、自分に話しかける。それ自体をも楽しむ。すると集中力が研ぎ澄まされます。戦略的独り言、おすすめです。

ここをクリアしてしまえば(簡単ではないですが)、あとは気合いでなんとかなる(最後の大高山も見た目ほどの難易度ではない)はずです。


2. 明るいうちはルートに気をつけろ。

本レースはコース上に誘導スタッフがほぼおりません。案内表示も矢印付きの看板か、か細いビニールテープのみ。


夜はそれらがライトに反射してくれて実は見えやすいのですが、昼はなかなか視認しづらい。何度コースロストしたかわからないくらい、かなり騙されました。

もちろん地図は頭に入れた状態で挑みましたが、なかなか細部までは覚えておらず、ときおりアプリ版の山と高原地図を取り出しては自分の進んでいる道が間違っていないかを確認して進んでいました。


3. 充実のエイド、ただし食べ過ぎには注意。

本レースはほぼ10kmごとにエイドがあります。ジュースも豊富、食べ物も豊富で、100kmならではの充実度。スープパスタ、カレー、シチュー、鶏うどんなんてのがあるエイドもありました。

僕は走っている最中は固形物を入れない主義(あからさまにパフォーマンスが落ちてしまう)なので、頂きませんでした、うかうかすると20分、30分もエイドにいてしまったりします。

これが意外と罠。食べてすぐ消化されるわけではありませんから、越生・飯能エリアのアップダウンが胃腸の中の食べ物を思い思いに揺らしまくってくれますので、最終的に内臓系に大ダメージを負うことになります。


4. 必携品チェックはないが、必携すべし。

当たり前のこと書いてますが、当たり前のことができていなかったランナーが多かったので(速い人も遅い人も)。

本レースはUTMFなどと違って、比較的低山です。1000m級の山はありません。さらい五月の開催で「灼熱のレース」という評判もあったので、防寒着を手薄にしている選手を多く見かけました。


必携品チェックがないので、自己判断に任される部分はあるのですが、エマージェンシーブランケットや防寒着を所持せず、70キロ地点くらいでガタガタ震えている選手を見かけました(たまたまエマージェンシーブランケットを二つ持っていたので、一つを手渡しました)。

必携品は時にめんどくさいと思ってしまうこともあるのですが、トレイルランナーたるもの「最悪の事態」をシミュレーションし、最低限の装備は必ずしておく。

またこのレースはドロップしても、自身の足や、公共交通機関を使ってスタート地点に戻らねばなりません(タクシーで戻ってきたセレブなおじさまもおりました)。真夜中に電車は動いてるはずもなく、オーバーナイトガクブル、しているランナーも多数おりました。


試合する前から負けること考えるやついるかよ!と、平手打ちをくらいそうですが、負けることも必ず想定しておくことがこのスポーツだと思います。

以上、色々と書いてきましたが、総合評価の高いレース、難易度の高いレースでした。来年出るかは検討中です笑い


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